主任検事「有罪得られると考えていた」立件判断に問題なしとの認識 プレサンス国賠訴訟
ではこの「不穏当」な取り調べは、内部でいかに評価されていたのか。主任検事の証言によると、総括審査検察官は実際に録音録画映像を見た上で「(不穏当な言動は)明らかに元部下が噓をついている場面だけだ」との理由で問題視しなかったという。
主任検事は総括審査検察官の判断に加え、元部下の弁護人から抗議もなかったため、自身は「捜査段階で映像を見た記憶はない」と述べた。
また2日目の14日の尋問では、学校法人元理事の取り調べを担当した別の男性検事が、山岸氏の逮捕当日に主任検事へ「逮捕は待った方がいい」と進言したと証言。山岸氏の関与を一時認めた元理事が供述を翻したためだった。
改竄事件を受けて制定された「検察の理念」では「積極、消極を問わず十分な証拠の収集、把握に努め、冷静かつ多角的にその評価を行う」と定めている。
だが男性検事が主任検事に進言した約1時間半後に逮捕状は執行されており、山岸氏側は進言を踏まえた証拠の再検討が十分に行われなかったと主張している。
18日の主任検事への尋問では山岸氏自らが、起訴前に「不穏当」な取り調べや、逮捕保留の進言を上司に報告したかどうかを質問。主任検事は「必要な証拠類は積極、消極問わず全て上司と共有している」と答えるにとどめ、明言を避けた。
山岸氏側は尋問終了後の会見で「改竄事件の教訓が形骸化している」と批判した。