ホンダ「XL250S」は「23インチのワークブーツ」と呼ばれた林道ブームの主人公
それまでのオン/オフモデルを超えた走破性を持った「XL250S」ですが、保安部品を簡略化し、北米を中心に輸出されたオフロード専用の「XR250」という兄弟車と同時開発されています。 エンデューロバイクとも呼ばれていた「XR250」は、荒野を走り切れる性能を持つ本格的なオフロード車です。その車体やエンジンと共通化したわけですから「XL250S」のオフロード走破性も納得です。 「XL250S」は外観などのマイナーチェンジのみで3年間生産され、後継モデル「XL250R」にバトンタッチしています。 ホンダ「XL250S」(1978年)の当時の販売価格は28万2000円です。
最後にエンジンの話をもうひとつ。 これもまた「XL250S」から新採用された技術ですが、単気筒なのにエキゾーストパイプがフレームを挟むように2本出ています。この方が1本の太いパイプよりもエンジンに冷気を効率よく当てることができ、パイプが細いことでエンジンに沿わせるように取り回すことができます(2ストローク車はこの部分に大きなチャンバーが存在します)。フレームの内側を通すレイアウトは、ライディングポジションの邪魔にならないメリットもあります。 この2本出しのシステムは長年にわたってホンダの空冷4ストローク単気筒エンジンに採用されており、40年以上経った現在でも輸出車「XR650L」などで見ることができます。 ■ホンダ「XL250S」(1978年型)主要諸元 エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 総排気量:248cc 最高出力:20PS/7500rpm 最大トルク:2.0kg-m/6000rpm 全長×全幅×全高:2175×875×1185mm シート高:850mm 始動方式:キック式 車両重量:128kg 燃料タンク容量:9.5L タイヤサイズ(F):3.00-23-4PR タイヤサイズ(R):4.60-18-4PR フレーム形式:ダイヤモンド式 【取材協力】 ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内) ※2023年12月以前に撮影
柴田直行