【武雄競輪・GⅢ開設記念】深谷知広が20度目のGⅢ制覇、SSとしては8年5カ月ぶりのV
武雄競輪で繰り広げられたGⅢ開設74周年記念「令和6年能登半島地震復興支援競輪 大阪・関西万博協賛 大楠賞争奪戦」は14日、最終12Rで決勝を行い、深谷知広(34)=静岡・96期・SS=が根田空史マークから終2角で自力に転じて捲り切り、今年初優勝。2、3着には深谷マークの阿部力也―大槻寛徳が続いて、東日本ラインでの上位独占となった。深谷のGⅢ制覇は昨年8月の松戸記念以来、通算20度目。清水裕友マークながら稲川翔との競りとなった地元の山田英明は、一度は目標を失いながらも最終的に清水後位に追い上げて4着に入った。4日間の総売上額は51億5583万7000円(目標53億円)だった。
■ヒーロー 「このVはGⅠ制覇への一過程」
SSとしての深谷知広が、ようやく優勝の2文字を手にした。グレードレースのVは昨年9月のGⅡ共同通信社杯以来だが、赤いパンツを履いてのVは2015年12月の伊東記念以来、8年5カ月ぶりだ。昨年末から6年ぶりのSS復帰。昨年末のGP、今年2月の地元静岡記念、前々回の西武園記念など強さを見せつけながらも惜敗が続いた。「S班として優勝がなかったのは気にかけていた」。結果を求められる立場で役割を全うし、肩の荷が下りたようだ。 だが決して口元を緩めない。「その先に、必要な優勝があると思う」。同じ南関の郡司浩平が待つGPの舞台へも、「GⅠ優勝をすれば、自然とそこへ行ける。その過程できょうの優勝がある」。賞金520万円を積み上げたが、視線にあるのはあくまでもビッグタイトル。ランキングはどこ吹く風だ。 レースは自力宣言の3車がもがき合った。終HSから1半にかけて、三つのラインが並走。だが最初に力尽きたのは深谷がマークしていた根田空史。終2角で止まった。深谷は「行き切るような感覚があったので安心していた。外に差していたので遠回りになった」と根田の外をぶん回して自力を発動。「根田さんがいい位置まで運んでくれたので」。逃げ込みを図る清水裕友をねじ伏せて、宮城勢と、ラインで確定板を独占した。 GⅠ日本選手権から中4日の強行軍だったが、「ダービーに向けていた気持ちが少し遅れて出た。しっかりGⅠにピークを持って行けるようにしたい」。全ては、弥彦寛仁親王牌(2014年7月)を最後に遠ざかるGⅠ制覇のために戦い続けている。そこへ一歩ずつ近づいているのは間違いない。(野口雅洋)