豊洲市場「盛り土なし」誰の判断か特定できず 都が内部調査結果を発表
豊洲市場の主要建物の下で土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、東京都の中西充副知事と岸本良一中央卸売市場長は30日、内部調査結果をまとめた自己検証報告書を発表した。中西副知事らは「市場関係者や都民に不安をいだかせ、都政全体への信頼を著しく損ねた」と陳謝したが、盛り土を行わず地下空間の設置を決めた時期については、内部での検討から設計完了までの間に「段階的に決定した」と説明。誰が判断したのかは特定できず、消化不良感が残る内容となった。 【動画】小池百合子都知事、盛り土問題の内部調査は「十分ではない」
地下空間の設置は「段階的」に決定
報告書では、地下空間の設置に至ったプロセスについて検証した。 豊洲市場の土壌汚染問題を検討する専門家会議が、土壌汚染対策として敷地全体の盛り土を提案したのは2008(平成20)年7月。その後、同年10月~12月の技術会議で、地下水モニタリングと作業のため、建物下の空間確保の必要性が指摘されたのを受け、都の技術部門が地下空間の技術的な検討に入った。 その後、2010年11月から翌2011年6月にかけての「基本設計」の段階では、都から設計事業者に対して、地下にモニタリング空間を入れるよう指示があったが、その時点ではまだ地下空間を設置しない案など、さまざまな案が浮上していたという。
2011年8月に開かれた新市場整備部の部課長会で、地下に空間を設置する方針が確認された。同部はその後、今の副知事である中西市場長(当時)に報告したが、「地下空間の設置により盛り土がなくなるという報告はなかった」と、中西副知事はその時点で盛り土がなくなるとの認識はなかったとした。なお、この部課長会について、議事録など会議の記録は残っていない。 それから、2013年2月に「実施設計」が完了。建設地の断面図には、高さが明記された地下空間が建物下に配置されており、盛り土はなかった。 当時、中西副知事は、「盛り土をして建物を建てる、という説明を受けていたので、建物は盛り土の上に建つものと考えていた。実施設計には基本設計の図面がついているので、仔細に問い直せば理解できたと思う。責任を痛感している」と釈明した。