影の主役はまだ出席していないトランプ氏?保護主義対抗を宣言したAPECとは
ペルーの首都リマで開かれていたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が20日(日本時間21日)、幕を閉じました。TPP(環太平洋連携協定)脱退を掲げたトランプ氏が米国の次期大統領に決まり、保護主義に対抗し、自由貿易推進の決意を表明した首脳宣言を最終日に採択しましたが、APECとはどのような集まりなのでしょうか。
APEC(Asia Pacific Economic Cooperation)は、1989年、オーストラリア・ホーク首相がアジア太平洋地域の持続的な経済発展及び地域協力のための会合創設を提唱しました。日本・米国・カナダ・韓国・オーストラリア・ニュージーランドと当時の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟6カ国(インドネシア・シンガポール・タイ・フィリピン・マレーシア・ブルネイ)計2カ国で発足。首脳会議は1993年、米国のシアトルで始まっています。 現在はチリ・中国・中国香港・メキシコ・パプアニューギニア・ロシア・台湾・ベトナムと今回の開催国ペルーが増え、環太平洋の21カ国・地域が参加。経済規模で世界のGDPの6割、世界全体の貿易量約5割、世界人口約4割を占めています。APECのテーマとなるのは主に経済で、参加国や地域のことを「エコノミー」、または「メンバーエコノミー」と呼びます。1年間通じていろいろな会合が開かれ、最後の閣僚会議、首脳会議などが行われるリーダーズウィークで終了します。
ことしは、首脳会談に先立ち、TPP参加12カ国の首脳が、2月の署名・協定確定後、初めて会合を持ち、「TPP消滅回避へ全力を挙げること」で一致しました。直前に米国大統領選でTPP脱退を掲げたトランプ氏が勝利したこともあり、あらゆる保護主義に対抗する首脳宣言をまとめるなど、まだ参加していないトランプ次期大統領を強く意識した内容となっています。 またAPECは2国間の首脳会談も多く開かれ、貴重な外交の機会となっています。北方領土問題進展が期待される来月15日のプーチン大統領来日を前に、日ロ首脳会談も持たれました。開催国の順番は特になく、「エコノミー」の自主的な申し出で決まっています。来年の議長国はベトナムです。