野生動物カフェ「日本は飛び抜けて多い」 世界的な“規制”の潮流に遅れ 「動物愛護管理法 」5年に1度の改正に向けWWFジャパン提言
「良い」動物福祉とは?
SNSでも、ペットとして飼育される珍しい野生動物たちの動画が流れてくることがある。 たとえば、ミーアキャット。よこはま動物園 ズーラシアの公式サイトを参考にすると、本来はアフリカ南部の開けた荒地や乾いたサバンナに分布するマングースの仲間で、5立方キロメートルの縄張りに掘った地下のトンネルに、10頭から40頭ほどの群れを形成して暮らす動物だ。 自宅やアニマルカフェが、この生態、生息環境を満たしているかといえば……少し考えただけでも答えは明白だろう。 動物の問題は「かわいい」「かわいそう」といった感情が優先されがちだ。しかし田中特任教授は、動物福祉の考え方にこうした概念はないという。その一方で、「科学的根拠に基づく“良い動物福祉”はある」として説明を続けた。 「動物が健康な状態で快適な環境にいて、栄養状態がよく、安全で、本来の行動を示すことが可能であり、痛みや苦痛、恐怖といった不快さを感じる状況に置かれていないということが、“良い動物福祉”です」 その上で、「野生動物に関して法律の規制がないというのは大きな問題ですが、それだけではなく、一般の方々の意識を変えることも非常に重要だと考えています」と力をこめた。 珍しい動物をかわいい、触れ合ってみたいと思うのは悪いことではない。だが、本当に動物が好きなのであれば、その動物にとって一番幸せな暮らしを考える必要があるのではないだろうか。 触れ合いたいと思うほど美しく尊い野生動物たちが後世にその命をつないでいけるように、一人ひとりが正しい知識を持ち、客観的な理解を深めるために法改正が行われるよう、動向に注目したい。
タカモトアキ