野生動物カフェ「日本は飛び抜けて多い」 世界的な“規制”の潮流に遅れ 「動物愛護管理法 」5年に1度の改正に向けWWFジャパン提言
海外で進む法律での「野生動物」保護
オランダでは今年7月、ペット飼育を認める動物を限定したホワイトリストによる規制が開始され、それ以外の動物の飼育を禁止する法律が施行された。また、韓国でも野生動物の利用について抜本的な見直しが行われ、動物園・水族館以外の施設における野生動物の展示を禁止(※既存施設は2027年12月まで展示可)。さらに現在、ホワイトリストの制定を検討しているという。 世界的な動きをみると日本は野生動物のペット利用について規制が遅れていると言えるだろう。 「野生動物の不適切なふれあい展示や飼育は、『ペットに不向きな動物も飼える』という誤った認識を助長させる恐れもあります。 日本でも、一般的に飼育することが難しい動物種を定め、そうした動物については、種の行動特性を発揮させ、さらに感染症対策も十分に整えることができる事業者だけが扱えるようにすべきだと考えています」(浅川氏)
動物福祉の考えから見た「動物愛護管理法」の問題点
日本獣医生命科学大学の田中特任教授は、「動物愛護管理法に犬・猫以外の哺乳類、鳥類、爬虫(はちゅう)類に対する規制や基準は、今のところありません。 動物虐待は刑事事件として取り扱われるべきですが、犬・猫以外の動物が虐待されても事件化されにくいという現状があります」と指摘し、動物福祉の観点から現行法の課題を解説した。 そもそも法律の名前にもなっている“動物愛護”と“動物福祉”はまったく異なる考え方だという。動物愛護が日本独自の言葉である一方、動物福祉は「全世界共通の普遍的なもの」として、田中特任教授は以下のように説明する。 「動物が本来生きている環境の中でどのような状態であるかを客観的に評価し、より良い生き方をさせるという考え方が動物福祉です。犬・猫はもちろん、野生動物や産業動物、実験動物など、飼育下にあるすべての動物に提供しなければいけない最低限の精神的・身体的なニーズという風に考えられています」 しかし、田中特任教授が行ったアニマルカフェやふれあい施設を対象とした実態調査では、動物が本来の生息地と異なる飼育環境で展示されていたり、鳥の羽がストレスによる毛引きでまばらな状態だったりと、動物の身体的・精神的ニーズを満たした施設はほとんど存在しなかったという。 これを踏まえて、田中特任教授は「これらは、野生動物の福祉を担保する法規制がないからこそ起こることではないか」と訴えた。