半年前の円安が現在の生活を直撃? 電気代を左右する為替レートや資源価格 補助金終了の余波で夏の電気代はさらに上昇か
これから夏に向けてエアコンの出番が増えてきます。そこで気になるのが電気代です。最近のニュースでは、円安が進んでいると報じられています。円安が続くと、電気・ガス代といった光熱費が上がってしまうと言われています。 【グラフ】為替レートと燃料費調整額の関係…3か月の時を経て、こんなにシンクロしています 東京電力のデータをもとに試算してみると、夏の電気料金は8%弱は値上がりする見込みです。また、円安が夏以降も続くと、秋や冬に電気・ガス料金は大きく上がってしまう可能性があります。 ずっと日本で暮らしていると、円安は遠い世界の出来事と思われるかもしれません。しかし実は、円安が続くと、電気料金など光熱費が増えていく仕組みになっています。また、電力会社が過去最高益をあげたと報じられましたが、円安にあらがうように値下げを続けるのは難しそうです。
円安が進むと夏の電気代が値上がりするのか?
7月分の電気料金が、電力各社から発表されました。例えば東京電力では、平均モデル家庭では8,930円の料金になると見込まれています。6月分の平均モデル料金は8,538円ですので、6月分と7月分を比べると5%近く電気代が高くなる計算です。これから夏の電気代はどうなるか、そして円安がどう関係するのか、を見ていきましょう。 日本で電気を作るには、原油や天然ガス、石炭などのエネルギー資源が必要です。為替レートが円安になると、海外のエネルギー資源を買うために、より多くの日本円が必要になります。日本では4月以降、円安がどんどん進みました。今年1月は1ドル=146円ほどだったのが、4月29日には1ドル=160円まで円安が進みました。 電気・ガス料金は、原油や天然ガスなどの燃料費にあわせて、自動的に調整される仕組みです。こうして通常の電気料金に上乗せ、あるいは減額される部分を燃料費調整額といいます。燃料費調整額は、半年~3カ月前の資源価格や為替レートをもとに決められます。 東京電力が公表している「燃料費調整のお知らせ」を見てみましょう。7月分の電気料金では、今年の2月~4月の為替レートの平均である1ドル=149.7円をもとに、原油や天然ガスなどの燃料費を計算しています。半年~3カ月前の為替レートを使って、今の電気料金がいくら値上がりするかを求めます。 8月分以降の電気料金には、より円安になった為替レートが反映される見込みです。5月以降は1ドル=155円とおいてみると、 ・8月分は1ドル=152.0円(3~5月の平均) ・9月分は1ドル=154.0円(4~6月の平均) といった為替レートを使って、燃料費調整額が計算されます。 7月分と9月分の電気料金で用いられる為替レートを比べると、1ドル=149.7円から154.0円へと円安となっています。これだけで3%ほど電気料金を押し上げる効果があります。 さらに、7月分の電気料金からは、激変緩和措置による補助金も終わります。東京電力が試算した平均モデルの計算例だと、6月分の電気料金は補助金なしだと9,006円、ありだと8,538円です。補助金により5%ほど値下がりしています。補助金がなくなる7月分以降は、それ以前と比べて5%ほど電気代が上がります 円安と補助金終了の2つの影響を合わせると、夏の電気料金は8%弱値上がりする見込みです。