農村の医師が「臓器移植記念日体育祭」に出場 中国
【東方新報】農村の医師であるリーさんは、20年以上もの間、中国南西部の村の険しく人里離れた山々を走り回り、命を救うための時間とのレースを続けてきた。 そして45歳になった彼は12日、再びレースを行った。しかし、今回は山道ではなく、滑らかなゴムのトラックを走るレースだ。このレースは病気を治療するためではなく、臓器提供の価値を訴えるためのものだった。 2008年に腎臓移植を受けたリーさんは、今年の「中国臓器移植の日」に合わせ11日に開幕した湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)の「第8回中国臓器移植記念日体育祭」に参加した約400人の臓器移植者の一人だ。 「この体育祭に参加するのは初めてです。レースに参加することで様々な背景を持つ人たちとつながることができるだけでなく、臓器移植の体験を分かち合い、臓器提供の力を紹介する『ショーケース』になれることに、とても興奮しています」、リーさんはこう語った。 「中国器官移植発展基金会が、華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)同済医学院および附属同済病院と共同で開催した体育祭の参加者は、陸上競技、卓球、バドミントン、綱引きなどさまざまな競技で競い合った。 競技参加者は9歳から78歳までの移植患者で、21の省クラスの地域から集まっていた。彼らが受けた移植は、腎臓、肝臓、肺、骨髄などであった。 基金会の趙洪涛(Zhao Hongtao)常務副理事長は「このイベントの目的は、臓器提供に対する意識を高め、臓器移植技術の進歩を促進し、臓器提供が人びとの生活を変える力を持っていることを示すことです」と述べた。 中国が昨年、臓器提供と移植に関する最新の規則を発表してから初めてのイベント開催だったという。 趙氏は「新しい規則を説明する文書のタイトルには『提供』という言葉が強調されていますが、これは中国が臓器提供を推進し、世界標準に合わせるというコミットメントを表現したものです」と説明する。 中国では15年から、自発的な臓器提供が臓器移植を受ける唯一の合法的な方法となった。公式データによると、それ以来中国では約5万3000人の死亡ドナーから16万以上の臓器が提供されている。 また中国の臓器ドナー登録者数は年々増加し、最近では679万人に達しているという。 農村医師のリーさんは800メートル走で5位に入賞した。彼は出場できたことを大変感謝しているという。 「農村の医療従事者という仕事柄、頻繁に丘陵地帯をトレッキングしたり走ったりしていますし、余暇にはバスケットボールやバレーボールをするのが好きなので、体力には自信があります。しかしもし移植がなかったら、私は今日ここにいなかったでしょう。今日は私の尊い2度目の人生への思いを込めて、精一杯走りました」、リーさんはこのように語った。 また、8年前に腎臓移植を受けた35歳のダーさんは「この大会に参加したことで、これまで以上に生きていることを実感しました」と話す。 ダーさんがこの記念体育祭にバドミントンで出場するのは、今回で3度目だ。彼はトーナメントの序盤で敗れたが、試合は競争だけでなく、仲間意識も大切だと言う。 「毎回、同じような経験を持つ人たちと出会い、何年にもわたって友情を築いてきました。この場にいることは、移植後も元気で健康だということで、私にとって大変意義深いことだと思っています」、ダーさんはこのように自身の思いを語った。 同済医学院器官移植研究所の陳知水(Chen Zhishui)所長は「移植を受けた人は手術から回復した後、社会活動に参加し、職場に復帰し、普通の生活を送ることが奨励されます。今、臓器提供者の不足は中国の深刻な課題です。昨年は100万人当たり4.6人のドナーしか登録されず、先進国に比べて遅れている状態です」と説明している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。