バニャイヤ、タイトル防衛は危うしもレジェンド勢揃いの『年間10勝クラブ』入り。師匠ロッシと肩並べる
MotoGP第19戦マレーシアGPの決勝レースはフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)がライバルを下して勝利。これにより、バニャイヤはMotoGPの長い歴史でも稀な、”10勝クラブ”入りを果たした。 【リザルト】MotoGP第19戦マレーシアGP:決勝 マレーシアGPの決勝は1周目からバニャイヤとランキング首位のホルヘ・マルティン(プラマック)による激しいバトルが繰り広げられ、わずか3周の間に15回もオーバーテイクが記録された。 バニャイヤはこの強力なライバルを退けると、最後は突き放してトップチェッカー。今シーズン10勝目を挙げた。ただタイトル争いではスプリントレースの転倒が響き、マルティンが24ポイントリード。最終戦を残し、防衛は風前の灯火となっている。 しかしバニャイヤにとっては重要な勝利でもあった。彼は今回勝ったことで、師匠のバレンティーノ・ロッシも含んでわずか5人しか達成していないMotoGP年間10勝を成し遂げたからだ。 70年以上の歴史を誇るMotoGPだが、年間10勝を達成したライダーは極わずか。ジャコモ・アゴスチーニ、ミック・ドゥーハン、バレンティーノ・ロッシ、ケーシー・ストーナー、マルク・マルケスの5人である。このスポーツにおける、まさにレジェンドのみが達成してきた記録なのだ。 初めて年間10勝を達成したのは、言わずとしれたレジェンドライダーのアゴスチーニ。彼は1968~1970年にかけて3シーズン連続で10勝を達成し、1972年には年間11勝を打ち立てた。 彼の次に年間10勝を達成するライダーが現れるまでは、20年以上がかかった。500ccクラス5連覇のレジェンドであるドゥーハンは、1997年に12勝を達成。年間最多勝利数を塗り替えた。 そして9度の世界チャンピオンであるロッシもまたこの10勝クラブの一員だ。彼が凄まじいのは2ストローク500cc時代、そして4ストロークとなったMotoGPクラスでも10勝をマークしているところだろう。ロッシはホンダ時代2001年と2002年に11勝、そしてヤマハに移籍したあと2005年にも11勝を記録した。 そんなロッシとコース上でも争ったストーナーもまた、10勝を達成している。ストーナーは2007年に合計10勝を達成し、この年ドゥカティに初王者をもたらした。 バニャイヤが10勝を達成する前までは、マルク・マルケスが最も新しい10勝以上を達成したライダーだった。 2013年にルーキーながらもMotoGPチャンピオンとなったマルケスは、翌2014年には年間最多勝利を更新する13勝を達成。この記録は2024年現在も破られていない。 なおマルケスは2019年にも12勝を達成。この時は全19戦12勝をあげつつ、転倒したアメリカズGP以外では全て表彰台に登るという完璧なシーズンだった。その後のマルケスは怪我に苦しんだが、2024年にドゥカティ陣営で復活……2025年はバニャイヤのチームメイトとなる。 2024年のMotoGPは、残すところあと1戦。タイトルの可能性はかなり低くなったバニャイヤだが、年間勝利数を11まで伸ばせるかどうかも見守りたい。
Rubén Carballo Rosa