トランプ氏もバットマンも連行、中国がハロウィーン取り締まりに躍起になる理由
香港(CNN) 中国・上海のハロウィーン騒ぎが世界中の注目を集めてから1年。米共和党の大統領候補ドナルド・トランプ前大統領に扮した市民や、コミックのスーパーヒーローの仮装をした市民らが次々に警察に連行されている。警察はお祭り騒ぎに対する取り締まりを厳格化している様子だ。 【写真】警察に連行されたトランプ氏に扮した人 SNSに投稿された動画では、飲食店が立ち並ぶ上海市内の繁華街3地区に大勢の警官の姿が見える。いずれも例年ハロウィーンを祝う市民らでにぎわう地区。中国で個人の自由がさらに狭められることへの懸念が高まっている。 歩行者の通行を制限するため雑踏整理のフェンスが設置された通りもある。仮装した市民らが26日に集まっていたナイトスポット近くの公園は、翌日には閉鎖された。 昨年は上海で厳格なコロナ規制が解除されて以来初のハロウィーンだったことから、社会批判の仮装をする若者も多かった。反体制が一切容認されない中国では異例の現象だった。 しかし今年は中国警察がそうした状況の阻止に力を入れている様子だ。ネットで出回った動画(CNNで位置情報を検証済み)には、ハロウィーンの仮装姿の市民らが警察に連行される様子が映っていた。 単に連行されただけなのか、拘束されたのかは不明。連行された経緯も分かっていない。中国の厳格な検閲の下、動画は29日の時点でまだネット上に出回っているものもあれば、削除されたと思われるものもあった。 上海ディズニー・リゾートなど公認のハロウィーンパーティーは予定通りに開かれた。一方、公の場でのパーティーが縮小されたことは、SNSの投稿に見て取れる。 「今年は上海の巨鹿路でハロウィーンの仮装はもう許されないの? 私のフィードに写真が一枚も出て来ないのはなぜ?」。中国の大手SNS微博(ウェイボー)にはそんなコメントが書き込まれた。ナイトスポットの巨鹿路で、警察が歩行者の通行を制限している画像もある。 日本や韓国と同様に、中国でもハロウィーンには仮装した若者らが友人と集まってイベントを楽しんでいる。 しかし中国の国営メディアはここ数年、欧米のお祭りに関する「過度の熱狂」を自制するよう、市民に警告していた。 金髪のかつらと右耳の包帯でトランプ氏に扮した若い男性の投稿はSNSに掲載され、その後削除された。 ネットに投稿された動画によると、スーパーマンやバットマン、さらにはブッダの仮装の男性も警察に連行されていた。 「上海ではもう、2023年みたいに革新的なハロウィーンのお祭りはなくなるだろう。徐々にとがった部分を失って調和的になる」。あるユーザーはそう書き込んでいた。