《大谷翔平世代のいま》大阪桐蔭春夏連覇の元主将が起業家に…引退後も「毎朝ワクワク」できているワケ「選手として勝ち目はないですが」
嫉妬や劣等感ではなく、ライバル心
水本に嫉妬や劣等感はない。抱いているのはライバル心。言葉が熱を帯びる。 「野球選手として勝ち目はありませんが、野球界への貢献度や影響力なら、まだまだ自分にも可能性があります。プロ野球選手とは違った方向から野球界に良い影響力をもたらしたいと考えています。『まだ、水本は生きている』と思ってもらえる活動をしていくつもりです」 目標や希望があるから、毎朝ワクワクして目覚められる。ユニホームを着ていなくても野球と深く関わる方法はある。 水本は現在、将来の野球界を背負う子どもたちも、野球中心の生活から次のステージに進もうとしている学生や社会人もサポートしている。子どもたちに対しては、このように思いを込める。 「野球を通じて成功体験を積んでほしいんです。練習して結果が出る喜びを野球で感じてもらうことで、野球以外でも成功体験を得られると思っています」 そして、野球に打ち込んできた就職・転職希望者には再び輝ける場をつくり出そうとしている。 起業1年目は野球塾が事業の柱だった。今年5月からの2期目は野球人のセカンドキャリアを支援する人材事業の拡大を最大のテーマに掲げる。 「独立した一番の理由は野球経験者に特化した人材事業を展開するためです。野球に打ち込んできた人たちは挨拶や礼儀、個人やチームで課題を解決する力、目標に向かって努力を続ける粘り強さなど企業で求められる要素を身に付けています。その能力や経験が生かせる会社や業種をマッチングさせるサポートをしていきたいと思っています」
主役ではなく、裏方に徹する
実際にリングマッチでは、登録した求職者と企業の橋渡しをして入社を実現させている。現在は水本が野球で培った人脈や知名度で野球経験者を受け入れる企業を増やしているが、今後は求職者の希望や適性に合った企業を自ら営業マンとなって探していくという。 「企業側から面接後や入社後に『良い人材をありがとう』、『一生懸命に頑張ってくれています』と感謝されたり、求職者から『とても働きやすい環境です』、『先輩方に可愛がってもらっています』と報告を受けたりした時は、やりがいを感じます。パソコンスキルがほとんどない、職務経歴書の書き方が分からないといった求職者のサポートは大変ですが、そういった方たちが希望に合った企業から内定がもらえた時の喜びは格別です」 ユニホームを着ていた頃の華やかさは今の生活にないかもしれない。かつてのようなスポットライトを浴びる主役ではなく、裏方に徹する。それでも、求職者と企業、お互いを幸せにする仕事には、試合で活躍した時や勝利した時と優劣をつけがたい達成感がある。野球界で輝く“大谷世代”はグラウンド内だけにとどまらない。
水本にとって、大谷とはどんな存在だったのか
そんな水本にとって、高校時代の大谷翔平という存在はどんなものだったか。 そう質問を続けると、「投げ方がすごくしなやかできれいだなと感じた」と初対戦時の記憶を回想するとともに、こんな思いを持ったという。 「藤浪や澤田と頻繁に対戦していたので……」 <つづく>
(「甲子園の風」間淳 = 文)
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