パリのパティシエが教える「グージェール」お酒にあう!チーズ入り塩味のミニシュー
「ラデュレ」を皮切りに「オテル・ル・ムーリス」ほか、ミッシェル・トロワグロ率いる「オテル・ランカスター」と三つ星レストラン「ピエール・ガニェール」ではシェフパティシエを歴任。世界のグランシェフたちの信頼を得てガストロノミー界の檜舞台に登場し、現在はパリを拠点に、世界各地で活躍中の長江桂子さん。 【写真でよくわかる】「グージェール」作り方 長江さんが、これさえ覚えておけば、お菓子づくりには一生困らない。とっておきのレシピを紹介。
グージェールとは、チーズの入った塩味の小ぶりなシューのこと。ブルゴーニュ地方のアペリティフは、「キール(地元の白ワインと、カシスのリキュールのカクテル)とグージェール」に決まっている。 「レストランではアペリティフにグージェールがよく供されます。ご紹介するレシピは、生地自体にすりおろしたナツメグを加えて作りましたが、シュークリームを作るときに生地を取り分けておき、チーズを加えればイチから作るより簡単です」。 味のバリエーションは広く、ナツメグの代わりに、ガーリックパウダーやクミンパウダー、セロリ塩などを加えてもいいし、小麦粉の量を減らしてカカオを加えればチョコレート生地のグージェールに。生地に最後に加えるチーズは好みのものを。コンテやゴーダ、パルミジャーノ・レッジャーノなどがおすすめ。今回は、角切りのコンテを加え、ゴーダをすりおろして上にのせている。最後に振るのは、パプリカパウダーや黒胡椒、唐辛子粉、胡麻、山椒粉などのスパイス類をお好みで。焼き上がったらカットして、サワークリームやサーモン、野菜などを詰めてアミューズ・グール(突き出し)にしてもいい。 「きれいな円形に焼き上げなくていいんです。ごつごつしているほうが、カリッ、しっとりと両方の食感が楽しめておいしいです。焼き立てをおつまみにしてください」。 ■材料(10~15個分 ※大きさによる) 水 50g 牛乳 50g 無塩バター 45g 塩 2g グラニュー糖 2g 薄力粉 60g 卵 100g(2個) ナツメグ 適量 好みのチーズ(約5㎜角) 40~50g 好みのチーズ(すりおろし) 適量 パプリカパウダー、黒胡椒など好みのスパイス 適量 ■下準備 ・薄力粉は振るう。 ・卵はボウルに入れて溶きほぐす。 ・天板にベーキングシートを敷く。 ■作り方 1 鍋に水、牛乳、無塩バター、塩、グラニュー糖を入れる。そこにナツメグをすりおろして加える。中火で温め、混ぜながらバターを溶かし、沸騰したら火からおろす。シュー生地は力をしっかり入れてまとめていかないといけないので、混ぜる道具は木ベラがおすすめ。 2 薄力粉を一気に加えて、木べらで手早くかき混ぜる。水分を薄力粉に一気に吸わせるのがポイント。ダマができないように、薄力粉を加えたらすぐに力強く混ぜる。 3 粉気がなくなるまで混ぜたら、再び火にかけ(中火から強火)、木ベラで鍋底をこそげるように力強く混ぜる。 4 加熱しながら水分を飛ばし、生地が一つにまとまって鍋肌から離れるようになったら火からおろす。 5 ボウルに移して、粗熱を取るために軽く練りながら温度を下げる。表面にツヤが出てくる。卵は60℃くらいで固まるので、ここで人肌より少し熱いくらい(45~50℃)までに下げておく。 6 5に溶いた卵を3~4回に分けて加え、加える度に生地と卵をしっかり混ぜる。 7 ヘラで生地をすくうと最初にボタっと落ち、後を追うようにリボン状に落ちていくような状態に整える。生地はツヤがあり、なめらかな状態。加える卵の量は、生地のかたさを確認しながら調整する。 8 7の生地に角切りのチーズを加えて混ぜる。 9 絞り袋(口金をつけない)に8を入れ、天板に直径2㎝ほどの大きさに絞る。 10 生地の表面に溶き卵(分量外)を塗る。塗りながら、刷毛で表面をなめらかに整える。 11 削ったチーズをのせ、半分はパプリカパウダー、残りに粗挽き黒胡椒をのせる。この状態で冷凍可能。冷凍する場合は、ベーキングシートごと冷凍庫へ。固まったら密閉容器に入れて保存する。190℃のオーブンで20分焼き、180℃に下げて10分焼く。焼成中はオーブンの扉を開けないこと。焼成の途中で開けると、膨らんでいた生地がしぼんでしまう。 長江桂子(ながえ・けいこ) 学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける RECIPE BY KEIKO NAGAE, TEXT BY MIKA KITAMURA