【闘病】乳がんは「検査ミス」により運よく発見できた 全摘した右胸に再発のまさか
国による文化や習慣の違いを経験することは、興味深く、時には人生を豊かにしてくれますが、良い面ばかりではありません。 【イラスト解説】「乳がん」になりやすい人 7つの特徴 話を聞いたマクドゥエル久美子さんは、アメリカ在住で、同国にて乳がんの検査や手術・治療を受けるにあたり、日本との違いを強く感じたそうです。 検査を受けるだけでも一苦労、説明がないことへの混乱、日帰りでの手術など、日本と全く違う医療体制での闘病体験と、そこで感じたことなどを聞かせてもらいました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年4月取材。
「がんでは想定外のことが起きるから」
編集部: 最初に不調を感じたのはいつですか? マクドゥエル さん: 不調はありませんでした。私は 2019年に右側乳房の「非浸潤性乳管がん」のため右乳房の全摘手術、再建手術を受けて以来、年1回のマンモグラフィと、年2回の腫瘍内科医の診察を受けながら、何の不調もなく過ごしていました。 しかし、2023年に受けたマンモグラフィで異常が発見されたため、超音波検査やCTスキャン、生検を受けることになり、結果「乳がんです」との診断を受けました。 編集部: 告知を受けた時どのように感じましたか? マクドゥエル さん: 2019年に非浸潤性乳管がんと診断された時は「切除すれば大丈夫」と言われ、それほどショックはなく、むしろ早く見つかってラッキーだと思いました。しかし、今回「右側乳房浸潤性乳管がんステージ1」という結果を聞いた時は、耳を疑いました。 右側乳房をすでに全摘していたので、また乳がんになるとしても左側だろうと思っていたからです。 編集部: 確かにそうですね。 マクドゥエル さん: また「毎年検診を受けていたのに、なぜ9mmの大きさになってしまったのか」「進行の速い悪性のがんなのか」「転移はするのか、もしかしてすでに転移があるのではないか」などと考えると、気が動転しました。 乳がんのリスクとして「出産経験がない」「肥満」「喫煙」「遺伝」などがあることは知っていたので、2度出産をし、肥満でもなく喫煙者でもない、近親者に乳がん患者もいない私が、なぜ2度も乳がんになるのか信じられない思いでした。 主治医に聞きたくても、肝心の腫瘍内科医もこの結果を聞いて混乱しており「がんでは想定外のことが起きるから」などと言って、まともに説明してくれませんでした。 編集部: 前回と今回の乳がんは異なるのですか? マクドゥエル さん: 2019年に見つかった右の非浸潤性乳管がんは、乳がんとしてはステージ0でしたが、3.5cmくらい広がっていました。最初は日本で部分切除を受けましたが、取り残しがありアメリカで再手術をしました。 その後、結局全摘し、乳房再建手術を受けました。新たに見つかったがんは「右側乳房浸潤性乳管がんステージ1」で、ホルモン受容体陽性HER2陰性。ルミナ―ルA型でした。 編集部: どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか? マクドゥエル さん: 検査の結果、全身の転移はないことがわかり、またセンチネルリンパ節生検の結果、リンパ転移もなかったので、まずは手術、そして術後はホルモン療法のみということでした。 また、同じ右胸で2度目の乳がんということと、遺伝子検査の結果から、予防的に左乳房も全摘を勧められました。 編集部: それは結局どうされたのですか? マクドゥエル さん: 「左側は残せれば」と思ったのですが、左側再発のリスクをできる限り減らしたいと思いました。迷いもありましたが、当時は再建するつもりだったこともあり、左も全摘することにしました。 結果的に乳房再建は諦めたのですが(後述)、もし左側が残っていれば、左右のバランスを考えて、右側を再建しないわけにはいかなかったので、結果的に良かったと思っています。 編集部: そのときの心境について教えてください。 マクドゥエル さん: 転移がないと判明するまでは、生きた心地がしませんでした。2回目の乳がんなので、転移したのかと思い、悪い結果ばかり考えていました。私の住む地域(アメリカオレゴン州)では、画像検査ができる施設が限られており、予約もなかなか取れません。 また、医師が検査の指示をしても、そのクリニックで検査予約を入れてくれるわけではないので、いつかかってくるかわからない検査施設からの電話を待ちます。 せっかく入れた検査予約も、予約係が受け付けた予約日を間違ってしまい、予定した検査がキャンセルされたこともありました。 編集部: 日本と比べ、検査するだけでも大変だったのですね。 マクドゥエル さん: 腫瘍内科医、かかりつけ医師、腫瘍の手術をする外科医、乳房再建を担当する形成外科医それぞれ別のクリニックなので、誰が何の検査予約を入れたのか、いつ結果を説明してくれるのかわからず、とても混乱しました。 検査結果は基本電話がかかってくるのですが、それに出られないで折り返し電話しても「忙しいから」と言って、なかなか繋いでもらえません。 ただでさえ不安で気が狂いそうなのに、検査の予約を入れるのも、結果を聞くのも自分で何回も電話をかけなければならず、ストレスがものすごかったです。このストレスで胃が痛むようになり、今度は胃がんが出来てしまうのではないかと思いました。 結局、最初に異常が発見されてから、MRIや骨シンチグラフィなどのすべての検査結果が出そろうまでに2か月かかり、その間不安とストレスに押しつぶされそうな毎日でした。 日本だったら、こんなに電話をかけまくる必要はなく、スムーズに検査できるのにと思いました。