放送作家・鈴木おさむは、なぜ辞めることを決意できたのか? BAD HOPの冠番組で再び目にした“奇跡のよすが”と、テレビドラマ界に残した爪痕
BAD HOPが見せてくれた“奇跡のよすが”
––––「BAD HOP 1000万1週間生活」はネットでも話題になりましたね。 あの番組は文字どおり、BAD HOPが共同生活をしながら1週間かけて1000万使う企画で、メンバーに解散前にいろんなことを体験してもらおうと思っていたんです。初めて合コンに行くとか、豪遊するとか、地元の保育園におもちゃを寄贈するとかして、1000万円使い切る。でも、中盤でT-Pablowが韓国のカジノへ行って、40分で300万使ってきちゃうんですよ。折り返しの段階で、残高が200万程度になってしまって。 ––––番組が成立しなくなる危機。 撮影が続けられるのか不安だったんですが、妻からは「久々にワクワクした顔してるね」と言われて(笑)。たしかに、あの緊張感は久しぶりだった。 T-Pablowは帰国してから「悔しい」と言って、まだ収録が残っているのに、勝手に韓国行きのチケットを取っちゃうんですよ。カメラクルーも行けないし、予算もないのに(笑)。でも、なんか彼に賭けてみたくなって、僕が「これを使ってくれ」って自腹で100万円を渡したんです。 彼が不在の間も番組は撮影し続けていたのですが、その間T-Pablowとまったく連絡が取れなくなってしまって、僕も「ヤバいかも」と思いました。何かあったのかもしれないし、100万円渡しちゃっているし(笑)。 でも、撮影が終わる直前でT-Pablowがようやく帰国して、みんなの前でバッグをいそいそ開け始めたんです。そこから出てきたのは、1000万円だった。 ––––奇跡のような展開ですね。 本当に奇跡ですよ。「SMAP×SMAP」でずっと追い続けていた“奇跡のよすが”を、引退前の最後のタイミングで、また見ることができた。その瞬間、アドレナリンが湧き出ました。 T-Pablowは「ありがとうございました」と言って、100万円の札束を渡してきたんですけど、僕はライブの資金に使ってほしいと断ったんです。で、無事撮影が終わって帰ろうとしたときに、マネージャーさんから「少し待っていてください」と言われたので現場で待機していました。 そうしたら部屋にBAD HOPの8人が入ってきて、「お礼です」と言って時計をプレゼントしてくれたんです。撮影が終わってから、8人で店に行って買ってきてくれたようで。僕は時計に詳しくないので値段はわからないんですが、託した100万円の数倍はするらしいです。数倍返しをサラッとする……なんてカッコイイ人たちなんだ!と。