「チェ・ジウさんの声に寄せたほうがいいですか?」田中美里 声優初挑戦が転機に「コンプレックスが『冬ソナ』で自信に変わった」
■『冬ソナ』って呼ばれてるらしい! ──『冬のソナタ』は当時、社会現象になりました。反響をどう受け止めていましたか? 田中さん:あれは本当にびっくりしました。当時はまだ『韓流』の作品がそこまで出回ってないころです。ご一緒した声優さんもみなさん驚いていて、「なんかブームになってるよ!『冬ソナ』って呼ばれてるらしいよ!」なんて話していました(笑)。 私も街中で声をかけられることが多くなりました。ペ・ヨンジュンさんが演じていたミニョンさんが人気で、「あのマフラーってどうやって巻くの?」と聞かれたり、パク・ヨンハさんが演じるサンヒョクさんとミニョンさんの間でヒロインが揺れると、「サンヒョクさんとミニョンさん、どっち派!?」なんて聞かれたり。私はもちろん声だけですけど、実際にドラマに出ているかのようにみなさん接してくださるんです。それだけ没頭して真剣に見られていたということですよね。
── チェ・ジウさんご本人にもお会いになったそうですね。 田中さん:チェ・ジウさんって少し声が低めなんですけど、お会いしたとき、私を真似して高い声を出してくださって(笑)。「吹き替えをしてくれてうれしいです」と言っていただいて、なんだかすごくほっとしました。
■「声が変と言われたけれど」『冬ソナ』で自信が持てた ── 女優とはまた違う、声優の仕事の醍醐味とは? 田中さん:はじめて自分の声でアテレコをしたとき、チェ・ジウさんの表情がまたちょっと違って見えた気がして、なんだかすごく不思議な感覚でした。私の声だけではなく、誰かがアテレコをすると、それだけでその女優さんや俳優さんの顔つきが違って見えてくる。違う声をあてると表情まで違って見える。それがすごくおもしろいなと思って、アテレコにハマるきっかけになりました。
── 冬ソナを機に、声のお仕事も増えました。声優のほかナレーターとしても活躍されています。 田中さん:ありがたいですね。でも、もともと自分の声にちょっとコンプレックスがあって、デビューしてからはとくにそう。お芝居をしていても「もうちょっとふつうの声を出して」「もう少し落ち着いた声を出して」と言われることもありました。でも、チェ・ジウさんの声を担当してから、少しずつ「いい声だね!」と言ってくださる方が増えて、私自身もこれでいいんだって思えたというか…。みなさんに自信を与えてもらえた、そんな機会でもありました。