分かりやすい劇に進化 「園原のははき木」松川公演【長野県】
オリジナル演劇「園原のははき木~源氏物語 帚木(ははきぎ)~空蝉(うつせみ)の巻 令和六年版」の長野県松川町公演が17日、町中央公民館えみりあであった。飯田下伊那地域と県内各地から会場いっぱいに集まった120人が、地元ゆかりの古典文学の世界に浸った。 飯伊を中心に舞台芸術をプロデュースする「南信州アートラボ」(野口千英子代表)が主催し、昨年9月の阿智公演と同じく光源氏はダンサーで衣装作家の石川かおりさん、紫式部は書家の尾曽紫綾さんが演じた。 令和六年版は帚木と阿智村の園原、源氏物語の関係がより分かりやすく伝わるよう、物語は阿智に縁がある高校教師が授業で源氏物語を教える場面からスタート。園原の帚木が題材となっている源氏物語の場面は、劇中劇の設定で上演された。 光源氏の誘いを拒む空蝉の人形を操った百鬼ゆめひなさんをはじめ、キャストも阿智公演より増やし、石川さんによるコンテンポラリーダンス、尾曽さんの書道など、地元在住アーティストや専門家の才能を各場面に生かしたほか、映像もふんだんに織り交ぜることで見応えのある作品に仕上げた。 園原のははき木は演劇の設定と同じく、東京にある野口さんの母校で12月に上演する予定。令和六年版の脚本と演出を手掛けた飯田市の劇作家、市瀬芳子さんはこの点に着目し、阿智村や帚木を知らない人にも伝わる作品づくりを心掛けた。 野口さんは「お客さまから『地域の財産を知ってもらう取り組みとして素晴らしい』という声が寄せられ、うれしく思った。今後も地元を中心とした各地で上演を続けたい」と話した。