じつは先進国でも「日本人が最低」…「超巨大な経済損失」を生んでいる「睡眠不足」という大問題
日本人の睡眠時間は短すぎる。経済協力開発機構(OECD)11カ国の中で、成人の睡眠時間が日本は最低で、男性7時間28分、女性が7時間15分。米国が男性8時間44分、女性8時間58分に比べると1時間も短い。11カ国の平均睡眠時間は8時間28分であり、睡眠時間が8時間以下は韓国と日本だけ。 【写真】メンタルの強い人が、なぜか絶対にやらない「意外なこと」があった! アメリカのシンクタンク、ランド研究所が2016年に算出した睡眠不足による日本の経済損失は約15兆円(1380億ドル)だという。長引く日本の不況は睡眠時間が少ないせいだったのでは?
寝ないことが自慢? の日本人
子どもも睡眠時間が少ない。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」(※1)では小学生は9~12時間、中高生は8~10時間の睡眠時間を推奨している。理化学研究所と東京大学で進めている大規模な子どもの睡眠調査「子ども睡眠健診」プロジェクト(※2)で、全国68校7700人の小中高生の睡眠データを集計したところ、平均睡眠時間は小学6年が7時間54分、中学3年が7時間5分、高校3年が6時間30分弱と推奨時間を大きく下回った。 日本人は睡眠を軽視すると睡眠に詳しい市川メンタルクリニック院長の芦澤裕子先生は言う。 「ちょっと昔に睡眠4時間でも大丈夫という短眠法の本が、すごく売れたじゃないですか。そういう伝統があるのか、寝ないことが美徳なのかわからないですが、日本人は睡眠を過小評価していると思います」 働き世代で睡眠時間が6時間切る人は寝不足だと芦澤医師。 「睡眠障害でうちのクリニックへ相談に来る方に話を聞くと、みなさん、睡眠はちゃんととっています、5~6時間は寝てますとおっしゃいます。しかし睡眠時間が5~6時間で足りる人は本当に少ない。周りにそういう生活をされている人が多くいらっしゃるのかもしれませんが、ショートスリーパーと言われる人は、私の体感では、1~2割ぐらいじゃないでしょうか」 しかも、まだ本当は頑張れるんですけど、と付け加えるのだそうだ。寝過ぎだと思っているらしい。睡眠障害で来院したのに、おかしな話である。どうやら日本では社会人は寝ない自慢をするのが普通らしい。 「平日無理をして、土日に寝不足を解消するためにいっぱい睡眠を取っているのかなと思うんですが、寝貯めはできません」(芦澤) 睡眠負債といい、利子のように不足した睡眠に比例して疲労が蓄積、それを解消するには不足した時間以上の睡眠時間が必要になってしまう。土日に寝たつもりでも、それでは足りない場合が多い。 ※1 健康づくりのための睡眠ガイド 2023 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf ※2 子ども睡眠健診プロジェクト https://sys-pharm.m.u-tokyo.ac.jp/childsleep/