江崎賞に安藤氏 タンパク質分子働き解明 金沢大特任教授 茨城
ナノサイエンス、ナノテクノロジー分野で世界的な業績を上げた国内研究者を表彰する「第21回江崎玲於奈賞」の審査会が7日、オンラインで開かれ、金沢大ナノ生命科学研究所特任教授の安藤敏夫氏(73)が選ばれた。安藤氏には副賞1000万円などが贈られる。 同賞は茨城県科学技術振興財団とつくばサイエンス・アカデミーが主催し、関彰商事が協賛。ノーベル賞受賞者の江崎玲於奈氏、白川英樹氏、野依良治氏、小林誠氏の4人を含む計7人が審査委員を務めた。 安藤氏は、試料の表面形状を高解像で可視化する原子間力顕微鏡(AFM)と呼ばれる分野で、従来よりも千倍ほどの速さで撮像できる装置を2008年に開発。液中の生体分子の運動を直接観察することに世界で初めて成功し、タンパク質分子が働くメカニズムを解明した。 高速AFMは既に市販され、さまざまなタンパク質分子の観察に使われるなど、生命科学分野の研究に大きく貢献。産業分野での利用も期待されている。 安藤氏は茨城新聞の取材に「栄えある賞を頂き、大変光栄。成功への道のりは平坦ではなかったが、多くの同僚や学生の協力に支えられ、目標にたどり着けた。改めて感謝したい」とコメントした。 審査委員長の江崎氏は「賞の授与や研究の評価は研究の質を向上する上で重要。われわれも貢献していきたい」と話した。 県内研究者を対象とした第35回つくば賞、第34回つくば奨励賞も併せて発表された。 各賞の受賞者は次の通り。(敬称略) ▽つくば賞 谷口尚(物質・材料研究機構)渡辺賢司(同) ▽つくば奨励賞(実用化研究部門) 張晗(物質・材料研究機構) ▽つくば奨励賞(若手研究者部門) 平野有沙(筑波大)
茨城新聞社