就活生の3人に1人、生成AIを活用 企業にバレたら不利になる? 「企業は意外に好意的。活用のコツは...」マイナビ中島英里香さん
「自分一人では思いつかないアイディア」と「虚偽の危険」
――なるほど。意外に企業側は好意的なのですね。調査結果では、補助的に使っている人が多いようですが、実際に使う場合は、具体的にどういう点に気を付ける必要があるでしょうか。 中島英里香さん 生成AIを使うリスクとして、生成された内容には虚偽やバイアスが含まれている可能性、機密情報や個人情報流出のリスク・生成コンテンツの著作権の侵害の可能性があげられます。リスクを回避するためにも、たとえば以下のような注意が必要だと思います。 ・エントリーシートなどを生成AIに読み込ませる場合に、個人情報や機密情報は入力しない。 ・生成されたものをそのままエントリーシートや提出課題に利用しない。 ・また、就職活動でのミスマッチを防ぐためにも、自分らしさが相手に伝わることを念頭に置いて利用していただきたいです。 ――生成AIを使いたくないという学生もいるでしょう。就活に使うメリット・デメリットに関しては、どのように考えていますか。 中島英里香さん メリットとしては、自分一人だけでは思いつかなかったようなアイディアや表現が得られ、それによって作成したものがよりよくなることです。また、生成AIの利用は基本的に時間や場所を選ばない点も大きなメリットだと思います。 デメリットとしては、生成された内容には虚偽やバイアスが含まれている可能性があるため、生成内容の検証や確認が必要であること、そして、自身のリテラシーの向上が必要である点だと思います。
学生がより「自分らしさ」を表現するための補助ツール
――生成AIを使いこなすスキルの向上が必要だということですね。生成AIの就活での活用は今後も増えていくでしょうか。また、最後に今回のリポートで特に強調しておきたいことがありますか。 中島英里香さん 今回の調査で、大学生にとって生成AIがより身近なものになっていると感じております。そのため、就職活動での生成AIの活用は今後も増えていくと思います。 調査では大学生はあくまで生成AIを補助ツールとして利用していることがわかりました。就職活動は学生と企業のマッチングだと思いますので、学生にはより「自分らしさ」を表現するための補助ツールとして、生成AIを利用していただきたい。 また、調査の中で学生のまわりで流行っている、あるいは有用だと感じているプロンプトを聞いています【図表3】。この内容を見ると、学生はさまざまな工夫をして生成AIを就職活動に活かしていました。ぜひ詳細な内容を調査ページからご覧いただければと存じます。 (J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎) 【プロフィール】 中島 英里香(なかしま・えりか) 株式会社マイナビ キャリアリサーチラボ研究員 2016年マイナビ入社。新卒採用の求人広告営業を経て、採用管理システム担当として東日本の中小企業・大手企業の新卒採用支援や採用業務代行などを行う。現職では新卒領域の調査を担当。