<Jリーグ>ジュビロ磐田がJ2降格に直面している理由
土俵際という表現も、もはや当てはまらない。17位にあえぐジュビロ磐田がJ1残留へ文字通り徳俵に足をかけた状況で、運命の一日を迎えようとしている。 ホームのヤマハスタジアムに清水エスパルスを迎える27日の「静岡ダービー」で敗れ、15位のヴァンフォーレ甲府がFC東京に勝てば今シーズンの16位以下が確定。1994年のJリーグ昇格以来、初めてとなるJ2への降格が決まってしまう。 残り5試合となった終盤戦で、J1残留圏内の15位のヴァンフォーレとの勝ち点差は10。ジュビロが3連勝し、ヴァンフォーレが3連敗しても順位は入れ替わらない。 FW中山雅史やMF名波浩ら、数多くのW杯日本代表選手を輩出。歴代2位タイとなる3度のJ1年間優勝に輝いた名門チームが、未曾有の不振に陥ってしまったのはなぜなのか。ここまでの軌跡をあらためて振り返ると、3つの理由が浮かび上がってくる。
【理由1 戦術面の混乱が招いた出遅れ】
ジュビロを率いて2シーズン目になる森下仁志監督は、開幕前のキャンプから布陣を昨シーズンまでの4‐2‐3‐1から3‐5‐2に変更している。 最終的には12位に終わったが、昨シーズンのジュビロはザックジャパンの常連だったFW前田遼一やDF駒野友一、成長著しいMF山田大記らの攻撃力を生かし、一時は2位にまで浮上している。 そうしたストロングポイントをより前面に押し出すための3‐5‐2構想であり、キャンプでは攻撃面の連携にほとんどの時間が割かれた。必然的にボールを奪うための連携はおざなりになる。 クラブワースト記録を更新する、開幕から7試合連続で勝ち星なし(2分け5敗)と大きく出遅れた間はすべての試合で失点。第4節のサガン鳥栖戦では、3ゴールを奪いながら引き分けに終わっている。 失点を意識するあまりにチーム全体が引いてしまい、看板だった攻撃力までもがスポイルされる悪循環を招く。第9節でヴァンフォーレに1対2で苦杯をなめた直後に、森下監督は解任された。 暫定監督に就任した長澤徹ヘッドコーチは、従来の4バックに戻してまず守備の安定を図った。しかし、第10節のFC東京戦まで中2日と時間がなかったことが、混乱に拍車をかける。 結局、長澤暫定監督が指揮した4試合も2分け2敗。その間に8失点を喫した守備組織が建て直されないまま、17位というまさかの順位で、昨夏のロンドン五輪でU‐23日本代表をベスト4に導いた関塚隆新監督にバトンが託されることになった。