楽天“ポイント改悪”は将来の「虎の子」モバイル事業拡大の布石
SNSなどで「楽天改悪」というワードがトレンド入りしてる。「今回の改悪は過去最高規模も凄まじい」と語るのは、日経エネルギーNextの山根小雪編集長だ。一方で、今回の改定の狙いについて解説しながら、楽天の挑戦にエールを送っている。それはどういうことなのか? 11月8日のRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』でコメントした。
楽天プレミアムカード改悪に悲観コメント殺到で…
楽天はSPUという、例えば「このサービスを使ったら、もう1倍ポイントもらえます」「これやったらあとプラス0.5倍もらえます」それを積み上げていくとかなりのポイントをもらえる、というやり方で、楽天市場だけでなく、楽天モバイル、あと給与振り込みを楽天銀行にしたり、つみたてNISAを楽天証券に誘導したりして「楽天経済圏」を作ってきたんです。 「とにかく何でもかんでも楽天でお金を落とすよ」という人たちを囲い込むために、ポイントプログラムを一生懸命やってきたんです。それなのに今回、改悪されました。ポイント付与率が下がったサービスをリストアップすると、10や20やもっとっていう感じなんですね。 それから、楽天プレミアムカードというすごくお得なクレジットカードがあって、海外の空港のラウンジを無料で使えるプライオリティパスがついているし、会費は約1万円ですが、楽天市場でそれなりに買い物をすれば、すぐに元が取れるいうカードがあったんですよ、それがもう、ほぼ持っている意味がなくなるぐらいの改悪になってしまって。 怖い話があるんですよ。X(旧Twitter)に「楽天プレミアムカード」って入れると「あなたの思いをそのまま聞かせて」とていう、自殺防止センターのページが自動で表示されるんですよ。つまり、それだけネット民が楽天プレミアムカードの今回の改悪について、悲観的なコメントを書き込みまくってるんですよ。
楽天離れが進んでしまうのか?
楽天は今回の見直しについて「楽天モバイルユーザーへの還元アップを目指したもの」だと説明をしています。楽天モバイルユーザーについては、これまで付与率が2倍だったのに、このたび4倍に増えるんですよ。同時に、いくらまで使ったらポイントが付与されるかという上限ポイント額というものがあるんですが、それは下げられています。つまり、今まで楽天経済圏にいっぱいお金を落としてきたユーザーは基本的にみんなマイナスになります。 要するに、楽天モバイルを使っているライトユーザーにとっては非常にプラスの大きい改定だということなんです。「楽天ポイントを集めている人たちの約8割は獲得ポイント数が増える、もしくは変わらない。楽天モバイルユーザーに限ると、8割以上がポイントが増える」と楽天は説明しています。 でも、残る2割の人たちだって、いろんなものを全て楽天に寄せています。例えばふるさと納税。いろんなふるさと納税サイトがあるけどあえて楽天を使う。宿泊予約もいろんな宿泊サイトがあるけどあえて楽天トラベルを使うみたいに。そういう大事なお客さんが離れるとなると、今回の改悪は楽天にとってもダメージは大きいでしょう。 サービスというものは、上位のロイヤルカスタマー、たくさんお金を使ってくれる人たち屋台骨として支えていて、ライトユーザーがたくさん集まっても、そんなに収益に繋がらないのが普通なんです。推し活のことを考えても、上位層の人たちがものすごい課金をするわけですよ。ライトユーザーって、そんなに課金はしないけど、その人たちにいかにどんどん課金する存在に変えていくかっていうのが戦略じゃないですか。 そういう意味で言うと、今回のこのやり方で頻繁に楽天を使っていた人たちが離れて大丈夫なのかな? って、心配になります。