郷ひろみ 心打たれた“ウタコール”妹の分まで戦った一二三 戦い抜いた日本選手団へ「感動をありがとう」
パリ五輪が閉幕した。7月26日から8月11日まで17日間にわたり、32競技329種目が行われ、さまざまなスポーツドラマが誕生した。テレビや新聞で熱戦を見守った「デイリースポーツ パリ五輪特命応援団長」の歌手・郷ひろみ(68)が、今大会を総括した。自身の記憶に残った選手や瞬間などのハイライトを振り返り、異国の地で戦い抜いた日本選手団へ「感動をありがとう」と感謝を伝えた。 全国ツアーの合間を縫いながら、9700キロ先の熱戦を見守った。パリ大会で日本選手団が獲得した金メダル数、メダル総数ともに海外大会において過去最多を更新。郷は「ますます日本だなって思うね。もう上しかないよね。うれしいね」と快挙に白い歯を見せた。 今大会のハイライトとして挙げるのは、柔道の阿部一二三&詩選手だ。東京大会に次ぐ兄妹2連覇が目標だったが、詩選手が二回戦敗退。畳から降りた後の大号泣が話題となり、郷も「詩選手は悔しかっただろう。泣いちゃうのはそりゃそうだ」と気持ちを推し量る。 泣き叫ぶ詩選手を励まそうと、場内で自然発生した“ウタコール”に心打たれた。「何千人という人が『ウタ!ウタ!』と。自然と起こったのは共感したからだと思う。他国のサポーターもいるのに、人々の心を動かした。金メダルは取れなかったけど、間違いなくあの空間は“金メダル”だった」とスポーツの素晴らしさに身を震わせた。 詩選手の敗戦後、一二三選手は妹の分まで戦い続け、見事金メダルを獲得した。優勝後に一二三選手は「(妹と)一緒に金メダルを取りたい」とすでに4年後のロス大会を見据えていたが、郷は「気持ちがすごい。4年間大変な苦しみを味わった上で、なおかつやるなんて。月並みな言い方だけど経験して強くなる。ぜひ頑張ってほしいね」と兄妹へエールを送る。 今大会もスケートボードは若き才能が輝いた。女子ストリートは14歳の吉沢恋選手が金、15歳の赤間凛音選手が銀を獲得した。アクロバティックな技を世界に見せつけ、ワンツーに輝いた2人について「自分と比較してみると、自分が14、15歳の時はチャラチャラしていて、しっかりしてこなかったよね。オリンピック選手と比較すること自体がおこがましいけど、将来が楽しみだよね」と今後へ期待を寄せる。 大会後半で記憶に残るのは、レスリング女子53キロ級で金を獲得した藤波朱理選手。中学時代からの公式戦連勝記録を「137」に伸ばした。「負けなしなんて信じられない。余計な心配だけど、吉田沙保里さんが霊長類最強なら、次は何と表現するのかな」と笑顔で首をかしげる。「負けることを考えず、上だけ見てやってほしい」とさらなる記録を心待ちにする。 日本代表として400人超の選手たちが挑んだパリ大会。うれし涙、悔し涙-。結果は出たが、郷は全ての選手に拍手を送る。「その時の体調もあるし、これだけは分からない。ダメだったなんて誰も思わないよ。参加することに意義がある。オリンピックに出ること自体、すごいこと。日本の代表として頑張ってくれて、本当ありがとうでしかないんだよ」と、感動を届けてくれた日本選手団をねぎらった。