思い出されるのは、カタールW杯の最終予選

イラクに敗れ、国際Aマッチの連勝記録は10でストップした日本。ここからいかに巻き返せるか。真価が問われる。写真：梅月智史（サッカーダイジェスト写真部／現地特派）

［アジア杯GS第２節］日本 １－２ イラク／１月19日／エデュケーション・シティ・スタジアム 【PHOTO】日本代表のイラク戦出場16選手＆監督の採点・寸評。全員が及第点以下の厳しい評価。最低点は守備者の２人 　190センチ近い大型FWアイメン・フセインへの“蹴り込み”作戦で、イラクは前半だけで２得点。日本は終了間際に１点を返すだけで、１－２で敗れた。 　アジアカップのグループステージで黒星を喫したのは、1988年のカタール大会まで遡ることになる。92年広島、2000年レバノン、04年中国、11年カタールと４度のアジア王者に輝いている日本にとっては、歴史的屈辱と言っていい。 「こういう時こそ、日本が力を発揮するんじゃないですか」と堂安律（フライブルク）は不敵な笑みを浮かべたが、第二次森保ジャパン発足以来、最大の苦境に直面した彼らはここからどう這い上がっていくか。今こそ真価が問われることになる。 　思い出されるのが、2022年カタール・ワールドカップのアジア最終予選だ。21年８月の初戦・オマーン戦は終了間際の失点で０－１の敗戦、10月の第３戦・サウジアラビア戦も０－１で敗れ、いきなり崖っぷちに立たされた。 　そこでチームを奮い立たせたのが、当時のキャプテン・吉田麻也（LAギャラクシー）らベテランだ。吉田は「ワールドカップに行けなかったら責任を取る」といった大胆発言をし、帰国便で川島永嗣（磐田）と真剣な表情で話し込むほど、停滞感を打破するために奮闘していた。 　 　帰国直後の千葉・幕張での練習時も、長友佑都（FC東京）や遠藤航（リバプール）ら主力を集めて話し合いを実施。チームの一体感と結束力を高めて、次なるオーストラリア戦（２－１）で勝利を強引にもぎ取り、一気に復調。W杯切符を手にしたのだ。 「正直、僕は連勝していたなかで、絶対いつか止まるなと。その覚悟をしながら臨んでいました。ずっと良いわけはないので、悪くなった時にどれだけチームにリーダーがいるのか。 　上手い選手だけじゃ勝てないというのは、全員が欧州で戦っているなかで分かっていましたし、チームの中にリーダーが多ければ多いほど、僕は立て直す力があるチームだと思っています。『上手いチーム』から『強いチーム』に変わっていくために、良い試練が来ているんじゃないかと思います」 　イラク戦は後半から登場し、攻撃に活力を与えた堂安が語気を強めたように、何人の選手が本気で流れを変えるべくアクションを起こすのか。そこが今大会の今後を大きく左右する重要なポイントになるのは間違いないだろう。 　後半のアディショナルタイムに一矢報いるヘディング弾を決めたキャプテンの遠藤が統率力を示すのはもちろんだが、今の主軸である守田英正（スポルティング）や板倉滉（ボルシアMG）、冨安健洋（アーセナル）らW杯最終予選の経験者たちは、先輩たちがやってきたことを今こそ思い出し、引き継ぐべきだ。