「え、パナソニック辞めるの?」SVリーグ異例の移籍“セッター入れ替え”…34歳深津英臣がついに本音「しがみついてでもバレーボール選手で」
34歳でも消えない代表復帰への想い
エリート街道を歩んできた深津だが、日本代表ではなかなか結果に恵まれず、悔しさを味わった。「勝たなきゃいけない」と焦れば焦るほど、少しでもコンビが合わなかったり、満足いくトスができなければ自分の悪いところばかりに目が向いた。「バレーボールは大好きだけど“楽しい”と感じながら戦える余裕はなかった」と振り返るのも、決して誇張ではない。 日本代表から落選し、一時は「代表戦を見るのも嫌な時期もあった」と振り返るが、他人と比べて自分が「できない」ことばかりを見るのではなく、できることを増やす喜びに考え方を変えたら、余裕も生まれた。 これから外国籍選手の枠がさらに増えるだろうSVリーグの未来を語る口調も、期待で満ちていた。 「今はアウトサイドやオポジット(の選手が多い)ですけど、外国籍選手枠が3人に広がれば、セッターの選手がやってくる時代はすぐ来る。ブルーノ(ブラジル代表のブルーノ・レゼンデ)や(アルゼンチン代表のルチアーノ・)デ・セッコ、ビッグネームもバンバン来るかもしれないし、そうなったらどんなリーグになるんだろう、って思いますよね」 若い頃なら「試合に出られなくなるかもしれない」と不安を抱いたかもしれない。だが今は違う。自分を信じる、まさに文字通りの「自信」がある。 「どれだけすごい選手が来ても、そこで勝負に勝てばいいわけですから。ブルーノが来たら話題になるでしょうけど、もしも同じチームでプレーすることになったら、ブルーノを控えに回すぐらい、僕はやってやりますよ(笑)」 経験だけでなく、新たな場所で戦う喜びを武器にして迎えたSVリーグ。古巣との初対決では、少し感傷的な思いを抱きながらも、チームが勝利するために奔走した。その姿こそが、育ててくれた愛すべきパナソニックに「これからもっと頑張るよ」と見せつけているようだった。 結果は敗戦。しかし真っ先に深津を称賛したのは“敵将”だった。昨季まで深津と共に戦って来た大阪ブルテオンのロラン・ティリ監督は開口一番、少しおどけながらもあえて大きな声で、深津をこう称えた。 「今日の試合はフカツが本当に素晴らしかった。大活躍でした。本当に、本当に素晴らしかった。彼は長年パンサーズのために貢献してくれた。またお会いできて、対戦できて本当に嬉しかったし、彼は素晴らしいパフォーマンスをしました」 まだ34歳。セッター人生も、バレーボール選手としての成長もまだまだこれから。ひとつと言わずふたつもみっつも、大輪の花を咲かせるはずだ。いや、咲かせてくれと変わらず願う。 愛すべきセッターの物語は、これから先もきっと、色鮮やかに紡がれていく。
(「バレーボールPRESS」田中夕子 = 文)
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