<インドネシアとロシア初の海軍合同演習の意図>国際紛争解決へ、日本が「挑戦」する時
足りていない巻き込み策
上記のインドネシアとロシアの初の海軍合同演習など、最近の東南アジア諸国の動きは、米国の「威信」低下と日本がそれを補う準備ができていないことを如実に示している。そもそも、反米を唯一の共通項とするBRICSに加盟すれば反米と見られることは不可避だが、タイも、マレーシアも、それを全く恐れていない。 インドネシアは、昨年の南アの首脳会合では加盟にノーと言ったにもかかわらず、プラボウォ政権になりBRICS加盟を表明した。これら一連の動きは、ASEANの団結を害する可能性もあり、だからこそ昨年インドネシアはノーと言った、と思っていたが、そうではなさそうだ。今回のロシアとの共同訓練もその文脈から見るべきだろう。 ただ、タイ、マレーシア、インドネシアは全て、BRICSに入る一方、米国との関係でもバランスを取りたい、と考えているようだ。虫が良すぎると言えばそうだが、これは前向きにとらえれば、彼らを通常であれば尻込みするような形で、こちら側に巻き込む機会でもある。 特にインドネシアについては、早晩インドと共にその立ち位置が世界の多数派を決めるだけの影響力を持つことになる国であり、インドが既にクアッドの一員になっている一方、いまだに組織的巻き込みが実現できていない。米国に頼れない以上、日本が主導して何らかの形で我々サイドに巻き込むことが必要だ。 一つのやり方として、日印豪インドネシアからなる「アジア版クアッド」の立ち上げを考えてもよいように思われる。
岡崎研究所