社会人が読書をできなくなる原因? 中学校で刷り込まれた“理想的な本の読み方”
読書は一字一句、すべて読む必要がある?
――普段は動画ばかり見ているけれど、「本当はもっと本を読みたい」と考えている方も多いはずです。しかし、読書は心理的ハードルが高いように思います。 おそらく多くの方が、中学や高校で学んだ現代文の授業を"読書の理想的なあり方"だと考えているのではないでしょうか。"本は前から順番に一行一行読んでいく"のが、正しい読書のありようであると刷り込まれていて、ちょっとでも読み飛ばしたりすると「自分はいけない読書をしてるんじゃないか...」と感じてしまうのです。 しかし、読書はもっと自由に楽しめばいいのだと思います。「著者が言っていることを、同じ型で、行間もすべてハイスピードで読み取らないといけない」というものでなくて良いのです。 一字一句味わって、一冊を読み終えるのに一か月以上かかるような読み方も尊いものだと思いますし、私がビジネス書を読む場合は、自分に関連する部分をより深く読みたいので、そこに多くの時間を割いて、そうでないところはパラパラっと見出しだけで通過していくという読み方をしています。 現代の本の読み方としては、もっと読者側に主導権を持って、本という素材を活かしながら自由に時間を過ごして良いのではないでしょうか。読書に対する気持ちのハードルをぐっと下げて、究極は積読でも良いと思います。気が向いたときに、やっと本を開けば良いのです。"読書はもっと自由で気軽なもの"だと考えるのが重要だと思います。
「毎日読書をする」ことで習慣化する
――「なかなか読書の時間を捻出できない」という悩みはどのように解決できるでしょうか? 私のおすすめは「毎日読むこと」です。今日は読もうか、読まないか、本を持っていくか、持っていかないか...そのように一回一回意思決定するのは難しいものでしょう。それよりも、毎日読むと決めて、出かける時は必ず本を1冊持っていく、と習慣にしてしまうのです。 私の場合は、毎朝30分~1時間、そして寝る前の1時間は必ず読書をすると決めています。習慣化のメソッドでは3週間続ければ習慣化されると言われていますので、まずは毎日続けることが重要です。 また、読書習慣を定着させるためには周囲との繋がりも大切です。読書が好きな人と交流し、お互いに読んだ本の感想をシェアすることでコミュニケーションも盛り上がりますし、読書のモチベーションを維持できます。 flierの機能の中にも「学びメモ」という、要約を読んだ感想をメモとして残せる機能があります。あえて1人用のメモではなく、他の人にも見えるように設計しているのは学びメモを読んだ人が要約を読んだり、本を買うということがよく起きるからです。定量的にも1.5倍ほど読む人が増えるというデータも出ています。 以上のことからも、周囲に本好きな人をたくさん探しておくことは大事なポイントだと考えられます。 ――今後、読書のあり方はどのように変化するとお考えですか? 読書は単なる娯楽というだけでなく、心身に良い影響を与えることが科学的に証明されつつあります。例えば、ストレスの軽減や、マインドフルネスなど、読書がもたらす効果は多岐にわたります。人を形づくる知恵や、将来のキャリアに繋がる知識が得られるだけでなく、科学的な観点から見ても極めて優れたツールなのです。 今後さらに科学的効果が示されたら読書の価値は見直されるはずですし、よりプレミアムな体験を提供するものとして位置付けられていくのではないでしょうか。
大賀康史(フライヤーCEO)