カメラが見た捜査本部 壁一面の捜査カレンダーに警視庁の執念が… “ルフィ事件”の舞台裏
■「特命チーム」 捜査本部に日本テレビのカメラが…
2024年1月。警視庁の総合庁舎の中にある捜査本部に日本テレビのカメラが初めて入った。その部屋には、この事件の捜査にあたるため招集された捜査一課、二課、三課の捜査員たちの姿があった。
まず目につくのは部屋の一番前に掲げられた渡辺優樹被告、今村磨人被告、藤田聖也被告、小島智信被告4人の写真。フィリピンの入管施設に収容されていた特殊詐欺グループの幹部たち4人を「強盗の指示役として挙げる」という気持ちを込めて捜査本部設置の日に壁に貼ったという。写真の横には4人が使っていた「ルフィ」「ミツハシ」などの異名も記されていた。
4人の写真の横に大きく貼られていたカレンダー。そこには捜査のスケジュールが事細かく記されていた。逮捕から起訴、捜査員の出張予定などが赤い文字でぎっしりと書き込まれていた。
そして、今回の捜査でカギを握った「スマートフォンの解析」。捜査本部の中には実行役らから押収したものやフィリピンで押収されたもの含め、70台以上のスマホやタブレット端末の解析にあたった部屋もあった。中でも捜査本部が着目したのはリーダー格・渡辺被告のスマホ。誤ったパスコードを入力すると開けられなくなる恐れがあり、一度の入力にかけることに。6桁のパスコードの組み合わせは100万通り。捜査本部は渡辺被告に関するすべての資料やデータなどを洗い出し、泊まり込みの作業が続いた。 そして、たどり着いた数字を入力し、スマホが開いた。スマホからは事件現場や被害者の写真など重要な証拠が出てきて、渡辺被告を立件する突破口となった。
■“解散”の日 捜査本部で語られた言葉
2024年1月31日。総合捜査本部、解散の日。 警視庁の重松弘教刑事部長は解散式で集まった捜査員に向けてこう語った。 「指示役の特定・検挙は相当困難という見方が広がる中、この難局を乗り切るためには刑事部の総力を結集しないといけない。そして必ずできると固く信じて、そこに疑問を差し挟む余地は一切なかった」「再び大きな難事件があったらここにいる全員を再度招集する。そして一緒にまた汗と涙を流したい」