メキシコ・ペソ下落深まる、大統領発言が拍車-モルガンSが悪化警告
(ブルームバーグ): メキシコ・ペソ相場は11日の取引でさらに下落した。ロペスオブラドール大統領が、与党に歯止めをかける力が弱まると懸念されている司法制度改革の重要性を強調した。
大統領は憲法改正が「急務」だとし、9月30日の任期満了前に承認される可能性に言及した。ニューヨーク時間午後3時40分(日本時間12日午前4時40分)時点でペソは対ドルで1.2%安と、他の全ての新興国市場通貨に出遅れている。
ロペスオブラドール大統領は11日早くに記者団に対し「これは真の法の支配を確保することであり、投機家ではなく投資家が望んでいることだ。真のビジネスマンは真の法の支配を望んでいる」と述べた。
10日にはシェインバウム次期大統領が記者会見で、政府は司法制度改革を優先させるべきだと表明。ただ法科大学院や法務従事者が改革を幅広く議論するよう求めた。11日にも再びこの問題を取り上げ、改革によってより良い司法制度を構築できるだろうと述べた。
メキシコ・ペソ下落、シェインバウム次期大統領が司法改革推進へ (1)
世界で最もパフォーマンスの高い通貨の一角だったペソは、シェインバウム氏が2日の大統領選で圧勝して以来、下落している。
メキシコ・ペソは週間で7%超下落へ、世界最高クラスから最悪に転落
モルガン・スタンレーは選挙前に、最も悲観的なシナリオとして2025年第2四半期(4-6月)までにペソが1ドル=19.20ペソまで下落する可能性があると指摘していたが、ストラテジストのイオアナ・ザンフィル氏によれば、同国の見通しが悪化する可能性を踏まえ、さらに下げる余地があるとみている。
同氏は11日のリポートで、「ペソが今後の潜在的な悪化について十分なリスクプレミアムを織り込んでいるとは考えていない。ペソは政治的ノイズの主要な放出弁にとどまる見通しだ」と指摘した。
原題:Peso Rout Deepens as Morgan Stanley Warns of ‘Deterioration’(抜粋)