【日本市況】株式が大幅反発、米大幅利下げ観測後退で円高一服
トヨタ自動車や日立製作所がTOPIXの上昇をけん引。半導体関連で東京エレクトロンやディスコが4%以上上昇したほか、三菱UFJフィナンシャル・グループなど銀行株も買われた。指数構成銘柄2132のうち1980銘柄が上昇し、下落は110銘柄にとどまった。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、市場の米利下げ幅の予想が25bpになったことで、円高懸念が和らいだと指摘。半導体関連株の反発が相場を押し上げたと述べた。
日経平均とTOPIXの相対力指数(RSI)は売られ過ぎの目安となる30に近づいていた。TOPIXは前日まで、昨年7月以来最長の6営業日連続安となっていた。
個別では、証券会社の格上げを受けてIHIが約33年ぶり高値に急伸。セブン&アイ・ホールディングスは、カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールが買収提案額の引き上げについて協議していることが明らかとなり、上げ幅を拡大した。
為替
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=142円台後半まで下落。米国の大幅利下げ観測の後退や日本株の大幅上昇を背景に円売りが優勢となった。日銀の田村委員のタカ派発言を受けて、前日のニューヨーク市場終値前後まで買い戻す動きも見られた。
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、「前日から投資家心理に改善が見られ、リスクオンの円売りと田村委員の発言を受けた円買いが綱引きしやすい状況になっている」と指摘。その上で、田村氏は元々最もタカ派な委員で、今回の発言をもって「どんどん円を買うことにはならないだろう」と付け加えた。
債券
債券相場は下落。コアCPIを手掛かりに米金利が上昇したことを受けて、売りが優勢だった。日銀の田村委員の発言や20年債入札の結果も売り材料になった。
20年債入札は最低落札価格が102円90銭と予想(103円ちょうど)を下回り、大きいと不調を表すテール(落札価格の平均と最低の差)も20銭と最近では大きめだった。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「利回り水準の不足感により投資家が応札に慎重になり、やや弱めの結果になった」と述べた。