北村有起哉、“朝ドラヒロインの父”を演じて 「僕もこうやって親子げんかをすればよかった」
NHK連続テレビ小説『おむすび』に出演している北村有起哉のインタビューコメントが公開された。 【写真】明日の第24話先行カット 本作は、平成・令和を舞台にしたオリジナル作品。“ギャル”だった主人公が栄養士となり、現代の抱える問題を解決していく。脚本は『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)、『正直不動産』(NHK総合)などの根本ノンジが手がけている。 北村が演じているのは、主人公・結(橋本環奈)の父・聖人。「朝ドラヒロインの父」は北村が役者を始めた頃の目標のひとつだったという。 「役者を始めた19歳の下積み時代に無謀な目標を掲げまして、そのひとつが朝ドラのヒロインの父親役を演じたいということでした。僕がヒロインの相手役というのはちょっと無理があるかなとそこは謙虚に(笑)。冗談はさておき、父の北村和夫が『おしん』のしゅうと役を演じていたというのも理由のひとつだったかもしれません。役者として父を超えてやるという若気の至りもありました。役者をやるなら、朝ドラに出演するぐらいの役者にならないと。おこがましいですけれど、目標が高くてもそこが一つの通過点であるぐらいの役者にならないと、と思っていました。今回、ヒロインの父役が決まって僕としてはホッとしたという気持ちが強かったです。うちのおふくろもすごく喜んでくれましたね」 演じる聖人については、「最近の僕が演じてきた役柄のなかでも、裏のない真面目な普通の役です」と分析しつつ、自身の“父”への思いも明かした。 「娘に対しては異常なほど心配性ですね。ドラマですからその性格をどこかで共感してもらえるように、憎めない部分もみせないといけないと思っています。実際の僕は割とのんびりとのんきなほうなので、父親はそこまで心配するもんかなと想像しながら、それを成立させるために現場でいろいろ試しています。聖人が心配性になった理由が今後描かれますが、やりすぎかもしれないけれど、一本筋が通っていると思っていただけるのではと思います。聖人と永吉は非常に折り合いが悪く、相当仲が悪い親子です。健さん演じる永吉とはしょっちゅう親子げんかしていますね。監督とも相談してけんかのシーンはなるべく派手にやったほうがいいと、暴れさせてもらいました。親子げんかというのは楽しくてすごく素敵なことなのだなと感じました。僕の父はもう他界していて、振り返ってみると、生前に親子げんかをしたことがなくて。僕もこうやって親子げんかをすればよかったなと少し感傷的になり、僕にとっては大切なシーンになりました」 第5週では、阪神淡路大震災の模様が描かれている。「この風景に溶け込めるようにしなければと思いました」と覚悟をもって撮影に臨んだことを明かしてくれた。 「エキストラさん含め、本当にリアルに学校内の避難所を再現していただきました。ここでなんとか歯を食いしばりながら頑張ったうちの一人ですから、この風景に溶け込めるようにしなければと思いました。避難所に永吉が来て『糸島にいくぞ』と言った時に聖人はまず反対しましたが、そのシーンのテストで、予想していたものとは違う感情が出てきたんです。本当に、『それだけはできない』って思いました。こんなに悲しくて悔しい。聖人ってこういうやつなんだ、と驚きました。永吉は聖人のそういう部分を見抜いているから、『子どもとどっちをとるんだ』と迫るんですね。ある意味、聖人は神戸に親父と離れたくて糸島から避難してきたようなもんですからね。右も左もわからない神戸でとにかくがむしゃらにやっていたんだと思います。そんな時に、セリフにもありますが地元の商店街の人たちが温かく迎え入れてくれて、多分18歳の聖人を親身になって支えてくれたのでしょう。聖人はそういう恩を決して忘れないタイプ。ものすごく義理堅く、人並以上にそういうものを大切にするので、被災して神戸から離れることになったことを『ひどいことをした、中途半端なことをした』とより強く感じているのだと思います」 最後に視聴者へ向けて次のようにメッセージを送った。 「登場人物のほとんどの人が、やさしくて温かい人たちばかり。それゆえに、人から頼まれたことを断れなかったり巻き込まれたり翻弄されるヒロインが、どんどん成長していき、父親である僕と親子げんかが起きたりと日常によくあるような出来事が丁寧に描かれます。そしてこのドラマは、明るいシーンの後に、大きなうねりとともに急にシリアスなシーンが起きるなど展開が読めません。そのあたりも楽しんでいただけたらと思います」
リアルサウンド編集部