セ・リーグに比べ、DH制度のあるパ・リーグの打線は松坂にとって災難だが、どんどん振り回してくるならば、逆にボールを動かすピッチングの掌中にはまる可能性もある。中日時代の阪神がそうだったように、松坂に相性のいいチームが出てくるケースも考えられるだろう。 　松坂自身も、自らの現状と役割を理解している。 「今の僕が戦力として考えられているというのが今のライオンズの投手陣の現状なのではないか。（若手選手に）聞かれれば教えたりすることはするが、それがメインだとは思っていない。今の僕には人のことを考えられる余裕はない。自分ができることを必死にやるしかない」 　 　松坂が古巣でV字回復するための最大のキーポイントは肩の状況だろう。今季は春季キャンプでファンに腕を引っ張られたことで古傷が悪化。結局、コンディション不良が、1軍で結果を出せなかった理由のすべてだった。渡辺GMがノルマを「1、2勝」としたのは、調整から焦らせ無理をさせたくないという配慮もあったのかもしれない。 　だが、松坂は、「去年の今の時期と比べると今年のほうが投げている」と手ごたえを感じていて「（今年は五輪の影響で）1軍の開幕も早い。それを頭に入れながら肩を作っていく。なるべく早くブルペンに入れたらいい」と、宮崎・南郷キャンプの初日からブルペンに入る可能性も示唆した。 「今年は何もやっていないので手応えも何もない。期待されてない方のほうが多いとは思うが、それを少しでも覆せるようにやっていきたい」 　それが松坂が内に秘めた思い。阪神の藤川球児ら、球界に残った松坂世代は5人になった。39歳の反抗に注目したい。