福島第1原発処理水放出から1年 首相視察、中国は水産物禁輸継続
東京電力福島第1原発の処理水海洋放出が始まってから24日で1年となった。周辺海域のモニタリング(監視)で海水などに異常は確認されていない。中国は「核汚染水」と呼んで反発し、日本産水産物の全面的な輸入停止措置を継続している。日本政府は即時撤廃を求めるが応じる見通しは立っておらず、水産業は厳しい状況が続く。岸田文雄首相は24日、放出の影響を聞き取るため、福島県いわき市の小名浜魚市場を視察した。 東電はこれまで6万トン超の処理水を放出。2051年までに完了する計画だ。 首相は小名浜魚市場で、水産物への放射性物質検査の状況を確認し、近海で取れたカツオや伊勢エビの刺し身などを試食。「最高の料理をありがとう」と語り、水産物の安全性をアピールした。 地元の漁業協同組合関係者との意見交換では、中国の輸入規制に関し「全く科学的根拠に基づかない措置で受け入れられない。即時撤廃を強く求め、あらゆるレベルで働きかける」と明言。第1原発廃炉や処理水放出も「科学的な知見に基づき、分かりやすい情報発信に努める」と強調した。