<センバツ>輝き放った明石商・来田の一打 公式戦3アーチはすべて智弁和歌山から
明石商の1番・来田の力強い打球が右翼へ飛んだ。その行方を確信したチームメートがベンチから飛び出してきた。そして、打球がスタンドに飛び込んだのを確認すると、来田は右手を突き上げた。九回無死から飛び出した劇的なサヨナラ本塁打で、明石商が智弁和歌山を破り、4強に駒を進めた。 【本塁打を放ち拳をつき上げる来田選手】 苦しい展開だった。明石商の先発右腕、中森は制球が定まらず、一回に4四球を与えて先制を許した。そんなエースにまず救いの手を差し伸べたのも来田だ。先制された直後にもソロ本塁打を放った。 「スイングスピードが速くて、球を中に呼び込める能力がある」。それが狭間監督の来田に対する評価だ。チームは昨秋の公式戦の平均犠打飛3.11と出場校中7位の数字を示しながら、狭間監督は来田には犠打をさせた記憶がない。「走者を進めることも安打を打つこともできる。9イニングで野球を考えた時、打たせる方が確率が高い」からだ。 この日も、二回、六回と、走者を三塁に置いた場面で来田が打席に立ったが、やはり強攻策で挑んだ。押される展開だったのに、それほど来田の打撃に対する信頼は厚い。 公式戦で来田が放った本塁打は3本。いずれも智弁和歌山との試合という。「智弁和歌山のような強いチームだと燃える」。大舞台で、まさに燃えるような輝きを放った。【村田隆和】