何となく見始めたら開幕6分でハマった。新作アニメ『負けヒロインが多すぎる!』惹き込まれる真新しさとキャラの魅力
“負けヒロイン”らしさを全面的に押し出した演出
“冒頭の6分間”を彩ったのは温水だけではない。第1話でクローズアップされた八奈見杏菜のキャラクター性も非常に目を惹きつけた。幼馴染の袴田草介に思いを寄せながらも、彼の本当の気持ちに気づき背中を押すところや、長く気持ちを伝えられずにいたことを後悔するシーンはまさに彼女の“負けヒロイン”という立ち位置が明確に描写されていた。 また彼女が作中で見せるコミカルな表情も、本作をより魅力的に演出していると考える。草介が去った後、彼が飲んでいたストローに口を付けていたことがバレるシーンでは虚無顔、コーヒーを勢いよく吹き出す顔……といったようにくるくると表情が変化する様子も見られた。短いながらも強烈なカットは視聴者の心に強い印象を残したに違いない。 一方、杏菜の親友であり“勝ちヒロイン”である姫宮華恋は「転校生」「転校初日から草介と知り合い」といったように、彼女とは逆でかなり勝ちヒロイン感マシマシに描かれている。杏菜だけでなく姫宮にも注目していくことで、彼女の“負けヒロイン”としての良さが輝いていくのではないだろうか。
“クラスメイト以上知り合い未満”の関係性がアツい!
ファミレスでの一件から杏菜と関わりをもつことになった温水だが、2人の関係も絶妙だ。クラスメイト同士の2人だが、杏菜の「同じクラスの温水くん……だっけ」という台詞や温水の「俺は知り合いですらなかったのか……」と口にする場面からは、彼らの関係性がわかりやすく明示されている。“クラスメイト以上知り合い未満”の2人だが、この関係性だからこそ彼女は自身の本音を曝け出すことができるのではないだろうか。 一方温水は脳内でツッコミを入れつつも、彼女に対しローズヒップティーを差し出したりと傷心した杏菜を気遣う様子が見られた。一緒に昼食を食べたりと、側から見ると仲の良さそうな2人……に見えなくもないが「絶対に恋愛感情は抱かない」であろう関係性が、逆に視聴者に対しても心地よさを感じさせているはずだ。 従来のラブコメ作品とは違う“負けヒロイン”を主軸とした物語や、各所に描かれたユニークな要素満載の本作に、筆者は瞬く間に魅了されてしまった。2話以降での“負けヒロイン”たちとの関わりや、温水と杏菜のやり取りに期待しながら今後も視聴していきたい。 ■放送情報 TOKYO MX/群馬テレビ/とちぎテレビ/BS11:7月13日より毎週土曜24時30分~ 中京テレビ:7月13日より毎週土曜25時25分~ 読売テレビ:7月15日より毎週月曜25時59分~ ■配信情報 ABEMA/U-NEXT /アニメ放題にて7月13日より毎週土曜24時30分~ ほか各配信プラットフォームにて順次配信 ©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会
渡辺美咲