イスラエル、イランとの対立で新局面-代理勢力だけでなく直接対峙も
(ブルームバーグ): イランのミサイルと無人機によるイスラエルへの攻撃は、不安定な中東地域にとって危険な転機となった。イラン国内からの直接攻撃は前例のない行動であり、イランは大成功を収めたと宣言した。
しかし、米英などの同盟国からの支援により、イスラエルはミサイルや無人機の大半を迎撃した。死者は出ず、被害も軽微だった。イスラエル側も大成功を収めたと宣言している。
【イスラエル】イラン報復攻撃、大半を迎撃-ハマスは戦闘休止拒否か
両国とも対立関係が変化したとみている。イランは、イスラエルが再び攻撃される可能性があることを認識しなければならない「新しい方程式」と表現。イスラエルは、自国を攻撃してくるいかなる国も攻撃すると表明した。
14日には、安全保障を巡るイスラエルの閣議とともに、主要7カ国(G7)が首脳会議を実施。米国を含む同盟国は、イスラエルが自制し、事態をさらにエスカレートさせないことを望んでいる。
イスラエル国民の多くがこのアプローチに前向きな一因は、イランの攻撃が失敗に終わり、武力による迅速な示威の必要性が低下したと受け止められていることにある。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスに対する戦争遂行を巡り、米政府から数週間にわたって批判されていたが、イスラエル国民は再び一体感を感じ、それに満足していることも影響している。
イスラエル参謀本部諜報(ちょうほう)局トップを務めていたタミア・ヘイマン氏は「イスラエルは今夜、初めて同盟国の一員として行動した。その同盟こそ、ガザ戦争の次の答えだ」と述べた。
しかし、ネタニヤフ首相擁立を続ける右派勢力は違う考えだ。イスラエルが早急に手痛い反撃を実行しない限り、イランとその代理勢力からは弱腰と判断される可能性が高いと指摘する。
ベングビール国家治安相は「いま必要なのは、徹底的な攻撃だ」と主張した。
イランは1日にシリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館をイスラエルが攻撃し、イラン軍将校が死亡した事件への報復としてミサイルを発射した。イランが攻撃を早くから表明していたのは、戦争を始めるというよりも、むしろ主張を通したい証しだとの声が多かった。攻撃を開始してからほどなく、イランの国連代表部は「この問題は終結したとみなすことができる」と表明した。