農家向け共済金、詐取疑い 県西農業共済組合の元職員3人逮捕 数千万円を架空請求か 茨城県警
農家向けの共済金を架空請求してだまし取ったとして、茨城県警は13日、詐欺と有印私文書偽造・同行使の疑いで、県西農業共済組合(同県八千代町)の元職員の男3人を逮捕した。だまし取った金は少なくとも数千万円に上るとみられ、県警が調べている。 逮捕されたのは、いずれも同共済組合の元職員で、埼玉県久喜市、会社員、男(42)と茨城県古河市、同、男(43)、同県結城市、同、男(38)の3容疑者。県警は3人の認否を明らかにしていない。 3人の逮捕容疑は2022年11月ごろ、組合員宅の家電製品が「落雷の影響で壊れた」などと被害を装い、組合員の名前を無断で使用して架空の請求書を作成。上部組織の県農業共済組合連合会に申請し、共済金計670万円をだまし取った疑い。 県警水戸、下妻両署と県警捜査2課によると、3人は当時、落雷などの自然災害で共済加入者に損害が出た場合、請求に必要となる家屋の被害評価や、請求書の作成、加入者の口座への共済金の振り込みなどを担当していた。 共済金は上部組織の連合会から組合を通して加入者に振り込まれる仕組み。3人は他の正規の書類に紛れ込ませて架空請求。支払先は無断で名義を使った組合員の口座から3人が管理している別口座に変更し、共済金を振り込ませていた。書類作成に必要な被災物品の写真は、過去の別件の写真を使い回していたとみられる。 県西農業共済組合によると、3人の架空請求は今年5月、組合員からの相談で発覚した。組合の調査では13年9月~23年12月、3人は架空の災害で建物などに損害があったように装って申告したり、実際にあった被害の共済金請求書の金額を水増して請求したりして、計82回にわたって計約5000万円を不正に振り込ませていた。 このほか、収入減を補填(ほてん)する「収入保険」に加入している組合員向けの共済金の一部や、共済金を低く見積もった差額も不正に振り込ませていたという。組合の調査に対し、3人は着服していたと認めた。組合は被害総額は少なくとも約7000万円に上るとみている。 大山佳功組合長は取材に「職員への監督不行き届きであり、組合員の皆さまにご迷惑をおかけして申し訳ない。警察の捜査に協力する」と話した。
茨城新聞社