中村鶴松「ドキドキ」観客の間近で見得…「歌舞伎町大歌舞伎」で熱演中
中村屋期待の若手、中村鶴松(29)が「歌舞伎町大歌舞伎」(26日千秋楽、シアターミラノ座)の「正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)」で小林妹舞鶴を華やかに演じ、目覚ましい成長を見せている。 曽我兄弟のあだ討ちを題材にした曽我物の様式美にあふれた舞踊。曽我五郎を演じる中村虎之介(26)と息の合った様子で「古典的な舞踊ですが、同世代の虎ちゃんと任せてもらえたことが、とてもうれしい。18代目中村勘三郎が偉大なヒーローで、中村勘九郎の兄、中村七之助の兄を目標とする同志ですから。踊りの面では『基本に忠実に』を心掛けて、僕がしっかりリードするつもりで勤めています」と声を弾ませる。 劇場に花道がないため、客席の通路を使ったダイナミックな演出が好評だ。「あれほど、お客さまの至近距離で見得(みえ)をするのは初めて。ドキドキします」。新宿・歌舞伎町という立地もあり「若いお客さんが多いですよね。この方たちに歌舞伎は面白いと思っていただけるように毎日、必死です」と力を込めた。 2月に歌舞伎座で行われた勘三郎さんの十三回忌追善興行では「野崎村」のお光を好演して脚光を浴びた。それでも「まだまだ反省の毎日です。舞台でお客さんの心を動かせる役者を目指しています。そのためにも歌舞伎の地力を鍛えていきたい」と慢心せず、しっかり足元を見つめている。(有野 博幸)
報知新聞社