楽天G巨額赤字続くも…元凶の“モバイル”が改善⁉️ 経済圏の核も楽天モバイルに【WBS】
巨額赤字が続く楽天グループ。2023年1月から9月までの最終損益は2084億円の赤字となりました。この期間での赤字は5年連続です。にもかかわらず、9日の決算会見に現れた三木谷会長兼社長は「ここにきて9月、10月から楽天モバイルの会員数が増えてきている。一番重要なところは解約率が下がってきている」と述べ、赤字を招いている楽天モバイルの状況が改善していると強調しました。 契約数はデータ通信量無制限のプランを導入したことなどで、8月には500万件を突破。一時は8%あった解約率は2%を切るまでに低下しました。来年には屋内でもつながりやすいプラチナバンドのサービスを始める予定です。つながりにくいというイメージを払拭し、事業の黒字化を目指すために800万から1000万件の契約を目指します。 ただ、モバイル事業の設備投資が経営の重荷になっている楽天。プラチナバンドの整備には、10年間で544億円を投じる予定ですが、競合のソフトバンクの宮川潤一社長は8日、「(楽天のプラチナバンドは)さみしい計画だった。ソフトバンクという会社が役に立てるなら、いろいろな意味でフランクに議論したい」と、プラチナバンドの整備を支援する考えを明かしました。 こうした動きも含めて、三木谷氏は「KDDIやNTTドコモも含め、協調するところと競争するところ。いらないところで競争する意味も、業界としてはないと思う。いろいろな形で話ができれば。他社との協力関係も含めながら、無駄なものは借りるという形で、投資についても減らしたい」と話しました。
そのモバイル事業を黒字化するための施策が、楽天ポイントの制度変更です。来月から楽天モバイルのユーザーが獲得できるポイントをこれまでより優遇します。モバイルの契約者が楽天市場で月に2万7000円以上買い物をすれば、月々の通信料金以上のポイントを得ることもできるといいます。経済圏の中心を楽天カードからモバイルに変えることで契約数を伸ばす戦略です。 一方で、これまで各種サービスの利用で付与してきたポイントの上限は引き下げると発表。ただ、楽天によると、ユーザーの8割は今回の変更で獲得するポイントが増えるか、あるいは変わらないということです。 この改定について、楽天のヘビーユーザーでもあるポイントの専門家「ポイ探」の菊地崇仁代表取締役は「楽天モバイルに入れば特典は増えるので、その点でユーザーを増やす。かなり大規模な変更かなと思う」と話します。 ただ、月10万円以上使うようなヘビーユーザーにとっては、今回の改定でもらえるポイントが少なくなってしまうといいます。これによって楽天経済圏から抜けようとする人は出ないのでしょうか? 「ヘビーユーザーが楽天経済圏をやめられるかというと、おそらくやめられることはない。競合にはヤフーショッピングやau PAYマーケットがあるが、それぞれのショッピングモールでしか使えない限定ポイントがたまる。例えば楽天は楽天ペイとか、いろいろな店で使えるので、優位点がある。多分そこまで計算されてるとは思う。離れる率はおそらく数%」(菊地氏) モバイルの契約獲得に向けて戦略を大きく転換した楽天ですが、金銭的な余裕が出たとはいえない状況です。モバイル事業の整備のために調達した社債の償還が今後、相次ぎます。来年にはおよそ3200億円、2025年にはおよそ4700億円の償還を迎える予定です。 9日、傘下の楽天証券がみずほフィナンシャルグループからおよそ870億円の追加出資を受け入れると発表しましたが、財政状況は依然として厳しい状態です。 これについて三木谷氏は「さまざまな形で銀行の協力やコミットメントももらっている。社債の償還は全く問題がない」と話しています。