97歳料理家、タミ先生が50年以上使い続けている道具とは?「桧山タミ料理塾」に炊飯器はなく、塾生の始めの一歩は「鍋炊きご飯」から
94歳まで約60年間「桧山タミ料理塾」で延べ1000人以上の生徒に料理を教えてきたタミ先生。無理せず自然体で過ごすことを大切に、「がんばらない台所」を伝え続けてきました。ご飯炊きの土鍋はタミ先生が愛用してきた調理道具の一つ。お米の芯まで熱が通って、ふっくらと炊くことができるそうで―― 【写真】タミ先生が使用しているまな板。水けをほどよく吸って材料が滑らず、包丁が吸いつくように切りやすい * * * * * * * ◆まな板はイチョウやヒノキのものを よく使う包丁は、3本あります。出刃包丁と菜切り包丁に、写真の一番小さな包丁は出雲特産のヤスキ鋼(はがね)製で、江上栄子先生が応援されて「江上包丁」という名前で広まりました。 この江上包丁は、日本伝統の製鉄法を受け継いだ包丁です。幅のあるナイフだったのが、50年切ったり研いだりしているうちに、ずいぶん小さくなりました。でも相変わらず、すぱーっと切れ味がいいです。 刃物は、お手入れが欠かせません。うちの塾生には、包丁研ぎも普段の台所仕事の一つとして教えてきました。切れ味が鈍い包丁では、食べ物を傷めてしまい、まずくなります。 よく研いだ包丁で切っていると、皮むきでも千切りでも、形も味もきれいにできて気持ちがいいでしょう。 まな板は、イチョウやヒノキの材のを使っています。水けをほどよく吸って材料が滑らず、包丁が吸いつくように切りやすいです。
◆ご飯炊きの土鍋 桧山塾には、炊飯器がありません。土鍋で炊いてもらいます。わたしが考える家庭料理の基本は、鍋でご飯を炊き、出汁から味噌汁をつくることです。鍋でご飯を炊いたことがない人はけっこういますから、新しい塾生のはじめの一歩は「鍋炊きご飯」になります。 今はおいしく炊ける便利な炊飯器もあるけれど、災害が多い日本ですから、機械に頼らずにご飯が炊ける方法を身につけておくと、生きる力になります。それに、土鍋で炊いたご飯が一番おいしいと思います。 ご飯を炊くための土鍋は、厚みがある二重蓋なので、火加減が簡単で吹きこぼれません。内蓋で圧力がかかるから、お米の芯まで熱が通って、ふっくらと炊けます。 よく使うのは15年くらい前に買った伊賀焼の「かまどさん」。お米をどろどろになるまで炊く「目止め」をして割れないように気をつければ何十年も使えます。 ※本稿は、『97歳 料理家 タミ先生の台所おさらい帖』(文藝春秋)の一部を再編集したものです
桧山タミ
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