始まりは「拾った松ぼっくり」 消えた7万本の松…高田松原の再生へ【東日本大震災13年の“あれから”】
(※2022年3月11日にテレビ岩手の「ニュースプラス1いわて」で放送されたものを再編集しました)
【取材したテレビ岩手・駒井晴夏(現プロジェクト事業局) 2024年3月に思うこと】
中学校の理科教師を定年退職した後、2006年の「高田松原を守る会」発足時から、環境保全に力を尽くしてきた鈴木さん。去年6月、陸前高田市で行われた全国植樹祭では、長年の功労を称え、緑化功労者として表彰を受けました。「支えてくれたボランティアのおかげ」と微笑み、控えめに喜ぶ姿が印象的な、常に周りへの感謝の気持ちを忘れない心優しい方です。 植樹を終えた後は、高田松原の草刈りなどの環境整備に汗を流しています。鈴木さんの最近の悩みは、つる性植物のクズが繁殖し、松の生育に悪影響を及ぼしていること。去年の酷暑の影響でクズが一気に伸びたとみられ、つるが絡まった松はクズの葉に覆われて、光合成ができずに枯れてしまったものもあります。自然相手の力仕事。「ここで枯れたら意味がない」と、一本ずつ手作業で刈り取っています。 「守る会」の中心メンバーはほとんどが70代です。鈴木さんもことし12月で80歳を迎えます。今も病気と闘いながら活動を続けていて、「気持ちがあっても体が動かない」と悔しさを滲ませることもあります。それでも、子どもたちに喜んでほしいという気持ちは変わりません。行政を巻き込んだ活動の在り方を模索しながら、地域の宝をみんなで守り育てていくと決意しています。 50年後、再び子どもたちの笑顔が帰ってくることを願って。松に希望を託しています。