始まりは「拾った松ぼっくり」 消えた7万本の松…高田松原の再生へ【東日本大震災13年の“あれから”】
■4万本を植樹 「50年後ここに来て、きれいな松原を」
鈴木さんの思いは、たくさんの人の心を動かしました。震災から6年後の2017年5月、 高田松原で初めて松の植樹会が開かれました。 弱々しかった松は小学生と同じくらいの背丈になり、生まれた場所に戻ってきました。 参加した子ども 「おじいちゃんとかと一緒に泳ぎに行ったことがある」 「たくさんの人がここに来て泳ぎにきてほしい」 参加した子ども 「50年後、ここに来てきれいな松原を見に友達とか家族とかで見に来たいなと思っています」 のべ3万人以上のボランティアの力も借りて、植樹会は毎年開かれ、2021年5月、目標の4万本の植樹が終わりました。しかし、そこに鈴木さんの姿はありませんでした。 大病を患い、遠くから松の成長を想っていました。
■震災から10年 初めての海開き
震災から10年が経った2021年夏、高田松原は砂浜の再生工事も終わり、震災後初めて、海開きを行いました。ようやく、この場所に笑顔が戻ってきました。 海水浴に来た人 「10年ぶりに、震災以降再開するってことで、息子も海が初めてだったので最初に連れて来たいなと思っていましたので、やっと来ることができました」
■白砂青松の風景まで“あと50年”
そこには、病気から復活した鈴木さんの姿もありました。松は、鈴木さんの背丈を超えました。 鈴木さん 「病院にいてもね、電話かかってくるから。“植えた松が大きく育つように”ってこと思っていました」 「私たちが子どものころから慣れ親しんだ、そして、楽しい思い出をたくさん作った場所、それが高田松原の海でした。これからの子どもたちにもたくさんの楽しい思い出をここで作ってもらいたい」 震災前の“白砂青松”の風景が見られるには、あと50年はかかるといわれています。 鈴木さんは「私は、124歳くらいまで生きないとな」と笑顔を見せました。