神戸入団のイニエスタはJリーグを変えることができるか?
Jリーグ黎明期の1991年5月には、現役を引退していた元ブラジル代表のジーコが、鹿島アントラーズの前身である日本リーグ2部の住友金属工業蹴球団に電撃加入。2年間の歳月をかけてチームを根本から改造し、最多タイトル数を獲得する常勝軍団の礎を作った。 世界中を驚かせた神様の現役復帰は、アントラーズを介して町おこしを進める壮大なプロジェクトに、ジーコが深く共感したことで実現した。大仕事を成し遂げたレジェンドたちは、ピッチ以外の部分に価値を求めるケースが多い。イニエスタも例外ではなかった。 「神戸にとどまらず日本サッカー界、アジア全体に大きな影響を与えてくれると思っている。彼はサッカー選手としてだけでなく、7400万人のSNSのフォロワー数を誇り、世界的にも大変強い発信力と影響力がある。世界から注目を浴びることができるような仕掛けも、どんどん作っていきたい」 イニエスタとともに歩む未来をこう語った三木谷会長は、会見後のフォトセッションで「8番」とイニエスタの名前が記されたヴィッセルのユニフォームを手渡した。2007-08シーズンからバルセロナで背負ってきた「8番」は、長くイニエスタの象徴と化してきた。 しかし、思い入れの強い背番号を、現状ではイニエスタが今シーズンのJ1の戦いでつけることはできない。Jリーグが定めるユニフォーム要項の第6条は、シーズン途中の背番号の変更は認めないと定めている。 いまも「11番」に強くこだわるカズ(三浦知良=横浜FC)が、クロアチア・ザグレブから京都パープルサンガ(現京都サンガ)へ移籍した1999年7月。他の選手がすでに「11番」をつけていたこととユニフォーム要項の存在もあり、カズは空いていた「36番」で半年間プレーしている。 今シーズンのヴィッセルも、J1の全15試合に出場している中盤の要、三田啓貴が「8番」を背負っている。要項に則ればかつてのカズのように、イニエスタは「7番」をはじめとして、現時点で空いている背番号のなかから選ばざるを得ない。 ヴィッセルの関係者も、フォトセッションでお披露目したイニエスタの背番号は決定事項ではないと断りを入れた。しかし、一方でJリーグ側に対して「そういう方向で調整中です」と、要項変更を含めた働きかけを行っていることを明らかにした。 「仮にそう(背番号8)なったとして、特例になるのか、今後そうなる(シーズン中の背番号が変更可能になる)のかはちょっとわかりません。ただ、(イニエスタの)影響力はあるんでしょうけど」