聖カタリナ学園 創部5年目、新たな歴史を作る春 選抜高校野球
3月19日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する第93回選抜高校野球大会に出場する聖カタリナ学園(愛媛)は、創部5年目で春夏通じて初の甲子園に挑む。 【動画】センバツ出場が決まり喜ぶ聖カタリナの選手たち 野球部初代部長の相原聡教頭(57)が感慨深げに語る。「甲子園に行くのはまだ何年もかかると思っていた」。創部からわずか5年目で、春夏通じて初の甲子園切符をつかんだ。 1925年に女子校として開校したが、2016年春に大きく転換した。男女共学化だ。背景には受験生の共学志向の高まりや少子化の影響などがあった。共学化に合わせて「聖カタリナ女子」の校名や校訓を変更し、新校舎が完成した。 野球部創部も共学化の一環だった。愛媛は野球熱が高く、相原教頭は「共学化するのに野球部がないのは、愛媛の高校として物足りない。男子を呼び込むのに野球部の存在は大きかった」と説明する。同じ松山市内には女子校から共学化し、名将・上甲正典監督(故人)が率いて創部3年目の2004年にセンバツ初出場初優勝を果たした済美という先例があった。県内では男子校から共学化する私立校も増えていたという。
セミナーハウスを野球部寮に
監督は現役時代に宇和島東(愛媛)で甲子園出場を果たし、小松(石川)を率いていた越智良平監督(39)を招いた。当時の教頭が越智監督の父という縁だった。練習場所は市中心部の学校近くに十分な広さが確保できず、車で約40分離れた学校のセミナーハウス敷地内のグラウンドを使用。黒土を入れ、ブルペンや室内練習場なども設けた。勉強合宿などで使うセミナーハウスの一部を野球部の寮にした。 こうした努力が実を結び、選手は県外からも集まるようになった。兵庫県出身のエース右腕・桜井頼之介(2年)は「寮が広くてきれいで、室内練習場がしっかりしていた」と入学理由を明かす。寮と練習場所が隣接し、選手は気兼ねなく自主トレーニングができるという。 くしくも上甲監督の宇和島東時代の教え子にあたる越智監督は、「(済美と)比較対象になるのでつらい」と笑いつつ、「まずは初戦にしっかり入りたい」。新しい歴史を作る春はまもなくだ。【新井隆一】
毎日新聞社