離党勧告か党員停止か 自民・田畑氏処遇巡り党内温度差
●県連「一緒の活動難しい」、党本部「処分が必要なのか」、ペナルティーなしも 自民党の田畑裕明衆院議員の事務所による不適切な党員登録問題で、党本部が田畑氏の処遇をどうするかに関心が集まっている。富山県連からは「一緒に活動するのは難しい」と離党勧告を含め厳しい処分を求める意見が相次ぐ一方、「党本部は処分が必要な事案なのか結論を出していない」と県連との温度差を指摘する声も。他党では同様事案で党員資格停止処分になった例もある。県連は12日、対応を決めるが、その行方は不透明だ。処分が科されない可能性もある。 自民党則によると、党処分は8段階で、除名が最も重く、離党勧告、党員資格停止、選挙における非公認、国会や政府の役職の辞任勧告、党役職停止、戒告、党則順守勧告と続く。 県連が8日に行った田畑氏への意見聴取では、党富山市連の中川忠昭支部長をはじめ、「活動をともにするのは厳しい」として、田畑氏に離党を求める声が相次いだ。 富山市の党トップである中川氏が強く離党を求めたことで、県連内では「田畑氏の次期衆院選は極めて厳しくなった」(ベテラン県議)との見方が支配的になっている。 一方、森山裕党幹事長と8日に面会した宮本光明県連幹事長は取材に対し、「(森山)幹事長は『党本部で党紀委員会を開いて決める案件なのか』と思っている」と述べ、党本部と県連の認識のずれを指摘した。 党関係者の間では、今回の田畑氏の問題が派閥の政治資金パーティー裏金事件の離党勧告や党員資格停止処分に準ずる問題と、党本部が判断するかどうかは不透明と見る向きもある。 裏金事件では自民党は塩谷立、世耕弘成両氏に離党勧告、下村博文、西村康稔両氏に党員資格停止1年、高木毅氏に同6カ月の処分をそれぞれ科した。不記載額が68万円だった田畑氏は金額が少ないとして、幹事長からの注意だけだった。 また党関係者の一人は「知らずに党員登録された人は総裁選の投票用紙や党関係の郵便物が届いただけ。法的に利益を得たり、不利益を被ったりしていない」と指摘。不適切な党員登録にどこまで違法性があるのか疑問視する。