玉置玲央さん「視聴者から嫌われるかと心配でしたが、意外と好意的に見ていただけてホッとしています。」【今会いたい男】
平安大河もシェイクスピア劇も、悲劇的な役が続いている玉置玲央さんとはどんな人? 【写真ギャラリーを見る】
「テレビでも舞台でも、観ているお客様とつながっている感触がほしくって。」
大河ドラマ『光る君へ』(NHK)で玉置玲央さんは、ヒールに当たる藤原道兼を演じて、一躍注目を浴びている。 「視聴者から嫌われるかと心配でしたが、意外と好意的に見ていただけてホッとしています。最近は“不憫”と同情の声もあって。父親役の段田安則さんにまで、父に人生を左右されて可哀想になってきたとからかわれました(笑)」 貴族社会にがんじがらめになり、タブーを侵してしまった悲劇的な人物・道兼を演じながら、玉置さんは日曜の夜の放送時間にSNSをリアルタイムで活用して番組を盛り上げている。 「お客様とのリレーションを大事にすることを心がけています。俳優と視聴者を線引きすることはもったいないと思うんです。実際、視聴者目線で見ると、たくさんの発見がありますよ」 憂いある表情が映える玉置さんだが、取材では実に快活で饒舌。偶然にも段田さんとの共演とヒール役が続く舞台『リア王』でも、観客と舞台をつなぐ役割を任されているのだと語った。 「ひとりで何かをするより、誰かに助けてもらって何かすることが性に合っているような気がします」というのは、集団活動である演劇を長く続けているからであろうか。高校時代から演劇をはじめ、劇団活動と並行して、映画やテレビドラマにも世界を広げてきた。
一方で「裏方作業も好きで、舞台美術のスタッフをやっていたこともあるんです。いまでも木工で椅子やティッシュケースを作ったりします」とアーティスティックな側面ものぞかせる。 「『リア王』は正しいと思うことをした人が早逝する悲劇の物語。僕は正しいと思うことを貫くことに共感します」 という言葉からは、他者との共生と、己の信念を守ることとにバランスをとろうとしているように感じられる。 さて。続きが気になる『光る君へ』の今後は、あまり仲良くない藤原三兄弟(井浦新、玉置、柄本佑)が力を合わせる局面がお気に入りだと言う。 「大石静さんの脚本には時々、感情や動きが目に見えるように細やかに書いてあって、まるで演じる俳優に対する恋文のようです。それを完璧に再現するか、あえて選択しないか、それも自分の信念に従っていいんじゃないかな」