人口減少と空き家増加の課題、住まいに困っている人と空き家のマッチングで活路。高齢者や低所得者などの入居サポート、入居後の生活支援も 福岡県大牟田市
住宅の確保には、空き家を提供するオーナーさんを継続して募集しています。 空き家を貸し出すことができれば、オーナーさんはその収入を建物の維持管理に充てることが可能。空き家のまま放置して劣化が進み、倒壊の恐れや相続の際のトラブルの原因になったりするリスクも減らせるので、オーナーさんにとってもメリットです。 オーナーさんから相談が入ると、市役所の建築住宅課の職員と大牟田ライフサポートセンターのスタッフとが一緒に現地に空き家調査に赴きます。 「大牟田市に空き家の相談が寄せられる件数は年間約80件ほど。オーナーさんの希望を聞きながら利用が可能か、取り壊さないと危険なのか建物状況を調査し、使用可能な場合は利活用の道をオーナーさんと共に相談していきます。行政職員が一緒に同行することでオーナーさんも安心して活用を検討できます」(大牟田ライフサポートセンター 三浦さん) 「調査に伺うと、家財道具の処分などを希望されることもあります。市としては特定の会社を紹介することができませんが、NPO法人である大牟田ライフサポートセンターなら直に紹介できるので、オーナーさんも、市としても助かります」(大牟田市 西山さん)
困っている人たちにとって「本当に必要な支援は何か」を見極める
大牟田市では、居住支援を行う際、相談に来る人たちに必ずお願いしていることがあります。それは、居住支援協議会の事務局である大牟田市の職員と大牟田ライフサポートのスタッフ以外に、メインとなる支援者をつけること。最初の相談時点で支援者が誰もいない場合は、支援団体への紹介も行っているそうです。 また、大牟田市においては近年、ひとり親世帯、特に母子家庭の困窮者が目立つと言いますが、住まいに困っている人の事情はさまざま。単純に高齢者の問題、低所得者の問題、といったように分類して区切れるものではありません。 「住まい探しだけに困っているケースはごくわずかです。多くの場合、仕事やそれに伴う収入、医療・介護の必要性など、さまざまな問題が複雑に絡み合っているため、よくよく話を聞くと、その人に必要なのは住まいではなく、生活に紐づく複数の問題だったりします。 現場でメインとなる支援者とは別に、私たち大牟田ライフサポートでは、面談を通じた適切なアセスメント(その人自身や周りの人、環境に及ぼす影響を把握すること)によって、相談内容の本質はどこにあるのか、必要な支援は何かを見極めるのです」(牧嶋さん)
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