沖縄の「エナジック」、創部3年目で甲子園初出場なるか? 超高校級の“強肩捕手”は「甲斐2世」の呼び声も
チームの強みは、機動力
ただし、指導経験豊富な指導者と力のあるキャッチャーがいるだけで、エナジックが強豪校を倒せるわけではない。チームの強みは、機動力にある。身長180cmを超える大型選手が少ない一方で、足を使える選手は多く揃っているのだ。 野球で走塁のスピードを評価する指標のひとつに、打ってから一塁ベースまでの到達するタイム(一塁到達タイム)がある。「4.20秒」を切れば“俊足”と言われるのだが、筆者が明豊戦で計測すると、5人の選手がクリアしていた。これは、甲子園に出場するチームと比べても多い。夏の沖縄大会でも、ここまでの3試合で6盗塁を記録しており、エナジックの機動力は、相手にとって脅威となっている。 一方、守備面に関しては「超高校級」と言えるようなスピードボールこそないものの、タイプの異なる複数の投手を揃えている。また、ここまでの夏の3試合で失策0と守りも堅い。 今年から反発力が弱い新基準の金属バットが導入され、全体的に長打が減っているだけに、「機動力で確実に得点を重ねて、堅い守備で守り切る」というスタイルが上手くはまっているようだ。 2002年夏には創部2年目の遊学館(石川)が甲子園初出場を果たして、ベスト8に進出して話題となったが、今年のエナジックもそれに近い勢いが感じられる。 果たして、快進撃は続くのか――。 エナジックは決勝進出をかけて、準決勝でウェルネス沖縄と対戦する。
西尾典文(にしお・のりふみ) 野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。 デイリー新潮編集部
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