議員報酬は高い!けど、減らすとヤバい。その理由は?~政治家の皆さんに聞いた「#議員報酬は高いか低いか」~①
選挙ドットコムはこの度、政治家(現職・元職・新人問わず)の意見を広く市民に伝える機能を拡充するため、毎月のテーマに沿って、選挙ドットコムサイト内「ボネクタブログページ」に投稿された応募ブログを基に、編集部がコラム化する新企画をスタートしました。 2回目となる今回のテーマは、「議員報酬は高いか低いか」!議員の仕事への対価として支払われる「議員報酬」をめぐっては、財源不足のために削減する自治体もあれば、議員のなり手不足改善のために増額する自治体もあるなど、全国で報酬の在り方を見直す動きがあります。さらに、昨今の「政治とカネ」問題で政治への不信感が高まっている中では、市民からも厳しい目が向けられています。しかし、議員報酬は議員活動の元手となり、私たちの生活にとっても欠かせないお金とも言えます。政治家の適切な報酬とは?そして、議員報酬の多寡の裏に潜む根本的な問題とは?政治に携わる現職・元職・新人の皆さんの意見を伺いました。このコラムでは、各ブログの一部分を抜粋していますので、気になるブログは文末のリンクよりぜひ全文をご覧ください。
今回のテーマ「議員報酬は高いか低いか」?その回答と理由は?
応募があった6件の投稿のうち、質問に対して2択で回答を求めたところ、以下の結果となりました。 今回は、「高い」と回答した渥美よしき(あつみ・よしき)氏と「少し高い」と回答した豊川和也(とよかわ・かずや)氏のブログを紹介します。
報酬高いのになり手不足。根本的な課題にこそ焦点を/渥美よしき氏の意見
【渥美氏のブログのトピック】 ・民間企業に勤める場合と比べると議員報酬は高い。しかし、下げるべきではない ・議員の報酬は決して低くないのに、なり手が少ない。これこそ大問題だ ・議員の存在意義や仕事の内容が知られていない、政治家のイメージが悪い、などの根本的な課題解決にこそ焦点を当てるべき 元ブログは下記リンクよりご覧ください 議員報酬は高いか低いか~市議会議員の場合~/渥美よしき氏
渥美よしき(あつみ・よしき)氏は「高い」と回答した理由を、自身が所属する静岡県・菊川市議会の報酬や支出をもとに具体的に示しています。 渥美氏によると、議員活動にかかる収入(議員報酬に、民間でいう「ボーナス」に相当する「期末手当」などを加算)と議員特有の支出、そして活動量は以下の通りです。 〈菊川市議会議員の報酬※令和5年4月1日現在〉 議員報酬年額:360万円(30万円×12ヶ月) 期末手当年間:100.5万円(3.35ヶ月分) 政務活動費年間:10万円 合計:470万円 〈市議議員の特別な出費〉 選挙費用:150万円(4年で割ると年間37.5万円) 活動チラシ費用:約10万円(印刷と全戸新聞折込1回分) 合計:47.5万円(年間負担) 〈議員の活動量※令和4年度実績〉 本会議日数:22回 委員会・協議会等:45回 その他会議等:37回 合計104回 ※自身が所属するもののみ 渥美氏は市議会議員の報酬は、決して低い水準ではなく、また、活動量も民間の正社員の半分以下のため、「議員報酬は民間企業に勤める場合と比べ高い」と結論づけた理由を説明します。 しかし、報酬が高いからといって「報酬を下げるべきではない」とも考えているそうです。なぜでしょうか? 報酬の多い・少ない以上に、渥美氏が問題視したのが「なぜ議員の報酬は決して低くないのに、議員のなり手が少ないか」という点です。 この問題点をめぐっては報酬以外の課題が絡んでいるとし、「議員の必要性を感じていない人が多い」「議員が何をやっているか分からない」「選挙に出ることを家族などから大反対される」などの政治家を取り巻く環境の厳しさを指摘。こうした根本的な課題を見過ごし、議員報酬の減額・増額だけに捉われることで「議員不要論」に拍車がかかってしまうことに強い危機感を示します。 このため、議員報酬の多寡にとどまることなく、「優秀な議員のなり手を確保するためには報酬以外について焦点を当てるべき」と訴えるとともに、「議員報酬は決して低くない。むしろ高いくらいです。だから、志のある皆さん。選挙にチャレンジして、議員になってみませんか!」と呼びかけます。