石川・珠洲伝統の塩づくり再開「温かい気持ちに感謝」 全国各地から約2年半分の注文と応援メッセージ
能登半島地震で海底が隆起するなどの被害があった石川県珠洲市では、伝統の揚げ浜式の方法で塩づくりが再開しました。注文はすでにおよそ2年半分。全国からあたたかい応援の声が寄せられています。 【写真を見る】石川・珠洲伝統の塩づくり再開「温かい気持ちに感謝」 全国各地から約2年半分の注文と応援メッセージ 珠洲製塩・山岸順一社長(87) 「ほっとした、うれしい、よかったという喜びの気持ちですね」 能登半島の外浦に位置する珠洲市長橋町で、伝統の揚げ浜式と流下式で海水から塩作りを行う珠洲製塩。 揚げ浜式は、砂に海水を撒き天日で乾燥させる奥能登に江戸時代から伝わる伝統の製塩方法で、国の無形文化財や世界農業遺産に登録されています。 珠洲製塩・山岸順一社長(87) 「灰汁を寄せて、手前の方に寄せて…」 40年以上、塩づくりを続ける珠洲製塩の山岸順一社長(87)。従業員が市の外などに避難し出勤できない状況の中、先月9日、工場で1人塩づくりを再開させました。 珠洲製塩・山岸順一社長(87) 「再開前はお客さんも山岸早く塩を作ってよと言っているような気がして、不安な気持ちというか落ち着かなかった」 揚げ浜式の塩づくりで砂に海水を撒くのは春から秋にかけてのあたたかい時期です。いまは例年通りシーズン中に蓄えておいた塩分の濃い海水=かん水を使って塩づくりを行っています。本来は来月から始まるというかん水作り。 しかし… 珠洲製塩・山岸順一社長(87) 「潜らないとこの岩が見えなかったのが、今露出している。こうなったら大変ですよね。どんな風にしようかって頭をひねっています」 地震の影響で隆起した海底。海岸線がおよそ100メートル沖合に離れ、海水を汲み上げるパイプが届かなくなりました。 珠洲製塩・山岸順一社長(87) 「1000年に1回と言われる地震なので、自然のパワーをなんとか克服するというか。お客さんが沢山買ってくれているので…」 インターネットを通じて寄せられた注文は、およそ4600個、例年の2年半分です。 「奥能登、応援しています」「何年後でも構いません」と、山岸さんのもとには全国からあたたかいメッセージが続々と届いています。 珠洲製塩・山岸順一社長(87) 「ありがたいな、ありがとうっていう気持ちですよね。買って助けてあげようっていうあたたかい気持ちに感謝しています。ありがとう。」 塩の製造から不純物の確認、袋詰めまで全て手作業で行う珠洲製塩。 いまだ半分以上の従業員が戻ることができていない中、山岸さんはこれからも伝統の塩づくりを続け全国に珠洲の塩を届けます。
北陸放送